判旨
食糧管理法違反事件の起訴状において、法定の除外理由(犯罪不成立事由)が存在しない旨の明文記載がなくても、そのことのみをもって直ちに起訴状を違法・無効と解することはできない。
問題の所在(論点)
犯罪構成要件に例外(除外理由)が定められている刑事事件において、起訴状に「その除外理由に該当しないこと」を明記する必要があるか、またその記載がない場合に起訴状が法律上無効となるか。
規範
起訴状の記載に関し、犯罪の構成要件を充足する具体的事実が摘示されているのであれば、法定の除外理由(処罰を免れる例外的事情)がないことをわざわざ明文化して記載しなくとも、刑事訴訟法上の起訴状の記載要件を欠くものとはいえず、公訴提起は有効である。
重要事実
被告人が米を譲渡した行為が食糧管理法及び同施行規則に抵触するとして起訴された。被告人及び弁護人は、起訴状において「法定の除外理由がないこと」の記載が欠落しているため、刑事訴訟法所定の記載要件を欠き無効であると主張し、憲法31条(適正手続き)違反等を理由に上告した。
あてはめ
食糧管理法違反の事案において、第一審判決が認定した事実によれば被告人の行為が同法施行規則23条に違反することは明らかである。起訴状に法定の除外理由がない旨の記載が欠けていたとしても、犯罪の具体的な公訴事実が特定されている以上、それだけで刑事訴訟法256条等に定める起訴状の法的記載要件を欠くとはいえない。したがって、手続きが憲法31条や76条3項に違反するとの主張は認められない。
結論
起訴状に法定の除外理由がない旨の記載がなくても直ちに違法・無効とはならないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法256条3項の「公訴事実の特定」の程度に関する判断。消極的構成要件要素や除外例について、検察官がどこまで網羅的に起訴状に記載すべきかという論点において、厳格な形式性を否定し、実質的な事実の特定がなされていれば足りるとする判例として引用できる。
事件番号: 昭和27(あ)418 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧の供出割当が過重又は違法であるとの主張は、実質的に事実誤認又は法令違反の主張に帰着し、適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人は昭和23年度の食糧供出割当を受けたが、当該割当が過重であり違法であると主張して上告した。被告人はこの主張を憲法違反として構成したが、実態としては行政処分…