判旨
検察官が業務上横領教唆の所為を包括一罪として起訴した場合において、当該起訴内容を前提とする判断に違法はない。
問題の所在(論点)
検察官が業務上横領教唆の事実を包括一罪として起訴した場合において、その罪数評価を前提として審理・判決を行うことの正当性。
規範
検察官による公訴の対象が、実質的に数個の行為を含むものであっても、包括一罪として構成され起訴されている場合には、裁判所はその公訴事実の範囲において一体として罪の成否を判断すべきである。
重要事実
被告人が業務上横領罪の教唆犯として起訴された事案である。検察官は、被告人の教唆行為を包括一罪として構成し、公訴を提起した。これに対し、弁護人は数罪に分割すべき旨等の上告趣意を申し立てた。
あてはめ
検察官は本件業務上横領教唆の所為を包括一罪として起訴している。この場合、裁判所が検察官の構成した訴因の範囲に従って包括的な一罪として取り扱うことは、刑事訴訟の構造上、不当なものとはいえない。記録を精査しても、職権で破棄すべき顕著な正義に反する事由(刑訴法411条)は認められない。
結論
検察官が包括一罪として起訴した以上、その範囲で罪の成否を判断した原審の判断に誤りはない。
実務上の射程
罪数論における包括一罪の起訴に関する極めて簡潔な判旨であるが、答案上は、検察官の訴因構成が裁判所の審判対象を画定するという訴因の機能を確認する際に言及し得る。ただし、事案の詳細が乏しいため、具体的なあてはめの参照には向かない。
事件番号: 昭和28(あ)4188 / 裁判年月日: 昭和30年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の犯行が包括一罪を構成するか否かは、証拠関係に照らして判断されるべきであり、事実関係として一罪を構成すると認められない場合には、併合罪として処理される。 第1 事案の概要:被告人が複数の犯罪行為に及んだとされる事案において、弁護人はこれらの行為が包括一罪を構成すると主張して上告したが、原審まで…