判旨
上告趣意において指摘された日付等の誤記が、記録に照らして明白な書き損じである場合には、刑罰法令の適用誤りや事実誤認等の重大な事由には当たらず、上告理由にならない。
問題の所在(論点)
上告趣意で指摘された供述調書の回数等の記載に誤りがある場合、それが直ちに刑事訴訟法405条の上告理由や、同411条の職権破棄事由に該当するか。
規範
刑事訴訟法405条の上告理由に該当するためには、憲法違反や判例違反等の事由が必要である。単なる書面の記載上の誤記であって、記録に照らし作成者の意図が明白な場合には、上告理由を構成せず、また同法411条各号の職権破棄事由にも当たらない。
重要事実
弁護人が上告趣意において「第四回」供述調書の不当性を主張したが、当該調書は実際には「昭和24年3月31日付」の司法警察員作成の被告人供述調書を指していた。この事実は記録に照らし、単純な誤記であることが明白であった。
あてはめ
本件における「第四回」という記載は、記録上の他の情報と照合すれば「昭和24年3月31日付」の調書を指していることが客観的に明らかである。このような明らかな誤記は、裁判の結果に影響を及ぼすべき重大な事実誤認や法令違反を基礎付けるものではない。したがって、実質的な上告理由としての不適格性が認められる。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
実務上、上告趣意書における事実摘示に些末な誤りがあったとしても、それが記録上明白な誤記の範囲内であれば、上告審の判断に影響しない。答案作成上は、形式的な記載の不備よりも、実質的な憲法違反・判例違反の有無が重要であることを示す一例として理解すべきである。
事件番号: 昭和25(あ)967 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ記録上同法411条を適用すべき事由も認められない場合、裁判所は決定をもって上告を棄却する。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が上告を申し立てたが、その趣意は刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないものであった。また、裁判所が記録を精…
事件番号: 昭和26(れ)2228 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
別件についての原審相被告人Aの弁護人の上告論旨引用は許されない。