不能犯の主張は、原判示の如く犯罪事実の否認であつて、刑訴三三五条二項により、これに対し判断を示すべき事項ではない。
不能犯の主張と刑訴法第三三五条第二項
刑訴法335条2項
判旨
強盗予備罪における不能犯の主張に対し、客観的に危険性が認められる行為であれば強盗予備の罪責を負うべきとした事案である。
問題の所在(論点)
強盗予備罪の成否において、被告人が主張する「不能犯」の抗弁が、刑訴法335条2項にいう「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」に該当し、裁判所が判断を示すべき事項にあたるか、また予備罪における危険性の判断方法が問題となる。
規範
実行の着手に至る前の予備段階であっても、特定の犯罪(本件では強盗)を行う目的で準備行為が行われ、その行為が客観的に見て当該犯罪の実現に結びつく危険性を有するものであれば、予備罪が成立する。
重要事実
被告人が強盗を計画し、その準備行為(詳細は判決文からは不明だが、強盗予備として起訴された事実)を行った。これに対し弁護人は、所論の事情(詳細は判決文からは不明)に基づき、結果発生の可能性がない不能犯であると主張して、強盗予備罪の成立を否定した。
あてはめ
事件番号: 昭和24(れ)2146 / 裁判年月日: 昭和24年12月26日 / 結論: 棄却
原判決中の「その證據は原判決に摘示するところとすべて同一であるからこゝにこれを引用する」という語句は、稍々正確を欠く憾みがないではない。しかしそれは、本來ならば第一審判決に摘示した通りの證據を舉示すべきであるのを、そのことを省略してそれに代えたものであること明かである。従つて原判決にも、第一審判決に摘示されたと同様の證…
被告人の主張する不能犯の主張は、実質的には犯罪事実の否認にすぎず、刑訴法335条2項の判断を要する事項ではない。記録上の諸事情(所論の事情)を考慮したとしても、被告人の行為は強盗の準備として十分な危険性を有しており、強盗予備の罪責を負うべき客観的事態が存在するといえる。
結論
被告人は強盗予備の罪責を負うべきであり、不能犯の主張は退けられる。原判決の判断は正当である。
実務上の射程
予備罪の段階においても不能犯(実行の不能)の理論が問題となり得ることを示唆しつつ、具体的危険性が認められる限りは予備罪の成立を広く認める実務上の立場を補強するものである。答案上は、予備罪の成立要件における「準備行為」の危険性判断において、不能犯の議論を排斥する際の論理として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1645 / 裁判年月日: 昭和24年9月29日 / 結論: 棄却
一 證據説明中の證據の標目を表示するのに、現に存在する「大阪市城東警察署司法警察官巡査部長A作成名儀の聴取書」は單に「司法警察官代理の聴取書」と表示したからといつて、表示の不正確たるに止り、虚無の證據を罪證に供したとはいえない。 二 大阪市城東警察署巡査部長が司法警察官の職務權限を有することは警察法第四六條第三五條舊刑…
事件番号: 昭和23(れ)978 / 裁判年月日: 昭和23年11月18日 / 結論: 破棄差戻
一 事實審が法の執行猶豫の言渡をするには、まずその前提として法定要件の一つである被告人が「前ニ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルコトナキ者」であることを判斷しなければならぬことはいうまでもない。しかしこの事實の判斷は、自由心證主義の下に經驗則に從い合理的に爲されれば足るのであるから、必ずしも常に前科調書にょつてこれが調査をしな…
事件番号: 昭和24(れ)865 / 裁判年月日: 昭和24年9月22日 / 結論: 棄却
一 被告人が原審相被告人A等と本件強盜をすることを共謀したものと認定され得る以上、被告人が、犯行現場において屋外で見張をしてをり、屋内に侵入した共謀者が如何なる暴行脅迫をなし、如何なる財物を強取したかをその當時知らなかつたとしても、又その贓物の分配を受けなかつたとしても、なお被告人は本件強盜の共同正犯である。 二 「保…