一 原審の認定した事實は、他人を脅迫して金品を強奪しようと共謀し、これを使用するため、出刄庖丁刺身庖丁ジヤツクナイフ及懐中電燈を買求め、これを携えて姫路城樓門附近を徘徊したと言うのであつて、強盗豫備罪の構成事實として何等缺くるところはないのである。 二 共犯者である共同被告人の各自白は互に各被告人の自白の補強證據として採證することの適法であること従來の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第七七號、昭和二四年五月一八日大法廷判決。昭和二三年(れ)第一一二號昭和二三年七月一四日大法廷判決各参照)
一 強盗豫備罪に該る一事例 二 共同被告人の自白と補強證據
刑法237條,刑訴應急措置法10條3項,憲法38條3項
判旨
強盗の目的で共謀し、凶器を準備して徘徊する行為は強盗予備罪(刑法237条)を構成し、また公判廷での自白や共同被告人の自白は補強証拠として許容される。
問題の所在(論点)
1. 公判廷における被告人の自白および共同被告人の自白が、憲法38条3項の自白および補強証拠の制限に抵触するか。 2. 凶器を準備し特定の場所を徘徊する行為が、強盗予備罪(刑法237条)にいう「強盗の罪を犯す目的で、その予備をした」といえるか。
規範
1. 憲法38条3項の「自白」には判決裁判所の公判廷における自白は含まれず、また共同被告人の自白は互いに補強証拠となり得る。 2. 強盗予備罪は、特定の強盗を行う目的をもって、その準備行為として客観的に認識可能な行為がなされることで成立する。
重要事実
被告人らは、他人を脅迫して金品を強奪しようと共謀した。その実行に使用する目的で、出刃包丁、刺身包丁、ジャックナイフ及び懐中電灯を買い求めた。さらに、これらの凶器を携帯して姫路城桜門付近を徘徊した。
あてはめ
1. 本件自白は公判廷でなされており、かつ共同被告人の自白が相互に補強証拠となっているため適法である。 2. 被告人らが強奪の共謀に基づき、殺傷能力のある複数の包丁やライトを購入し、深夜等の犯行に適した状況下でそれらを携行して特定の場所を徘徊した事実は、単なる一般的可能性を超え、強盗の犯行に向けられた客観的な準備行為であると評価される。
結論
被告人らの行為は強盗予備罪を構成し、原審の認定に違憲または擬律錯誤の違法はない。
実務上の射程
強盗予備の実行着手時期を検討する際の前段階として、予備罪の成立要件(目的と客観的準備)を確定させるために用いる。また、補強証拠の要否に関する刑事訴訟法の論点(公判廷自白・共同被告人自白)の規範提示にも活用できる。
事件番号: 昭和53(あ)643 / 裁判年月日: 昭和54年11月19日 / 結論: 棄却
刑法二三七条にいう「強盗ノ目的」には同法二三八条の準強盗を目的とする場合を含む。
事件番号: 昭和24(れ)865 / 裁判年月日: 昭和24年9月22日 / 結論: 棄却
一 被告人が原審相被告人A等と本件強盜をすることを共謀したものと認定され得る以上、被告人が、犯行現場において屋外で見張をしてをり、屋内に侵入した共謀者が如何なる暴行脅迫をなし、如何なる財物を強取したかをその當時知らなかつたとしても、又その贓物の分配を受けなかつたとしても、なお被告人は本件強盜の共同正犯である。 二 「保…