判旨
裁判所は、当事者から申請のあった証人のすべてを必ずしも取り調べなければならないものではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、裁判所は当事者が申請した証人をすべて取り調べなければならないか。裁判所の証拠採否に関する裁量の有無が問題となる。
規範
裁判所は、証拠調請求のあった証拠のうち、必要と認めるものを取り調べれば足り、申請にかかる証人のすべてを取り調べなければならない義務を負うものではない。
重要事実
被告人Bの弁護人が証人の取調べを申請したが、裁判所がその一部または全部を採用しなかった。これに対し、弁護人が証人取調べの必要性を主張して上告した事案である。
あてはめ
本件において、第一審および原審が証拠採用を行わなかった判断は、過去の判例(昭和23年大法廷判決)に照らしても適法である。裁判所は提出された証拠の必要性を個別的に判断する権限を有しており、申請された全証人を調べる必要はないと解される。記録を精査しても、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な不当性は認められない。
結論
被告人の上告を棄却する。裁判所が申請された証人の一部を取り調べなかったとしても、直ちに違法とはならない。
実務上の射程
証拠決定における裁判所の広範な裁量を認めた判例である。実務上、証拠調請求が却下された場合に、直ちに憲法違反や手続違背を主張するのは困難であり、その証拠が事実認定に不可欠であることを具体的に示す必要がある。
事件番号: 昭和26(あ)4047 / 裁判年月日: 昭和27年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項前段は、供述証拠の使用に際して常に公判での証人尋問を要求するものではなく、証拠調請求の採否は裁判所の合理的な自由裁量に委ねられる。 第1 事案の概要:被告人側から証人Aの取調べ請求がなされたが、原審(控訴審)はこの請求を却下し、直ちに審理を終結させた。弁護人は、これが憲法37条2項前…