判旨
被告人らの行為が業務妨害罪および建造物不退去罪の構成要件に該当する場合、その目的や意図がいかなるものであっても、直ちに違法性が阻却されることはない。
問題の所在(論点)
被告人らの行為が業務妨害罪および建造物不退去罪の構成要件に該当する場合において、その目的や意図といった主観的事情が、犯罪の成立を否定する正当化事由(違法性阻却事由)となり得るか。
規範
業務妨害罪(刑法233条、234条)および建造物不退去罪(同130条後段)の構成要件に該当する行為については、行為の目的や意図の如何を問わず、原則として犯罪が成立する。正当な理由なく他者の業務を妨げ、または退去を拒む行為は、その動機にかかわらず違法性が阻却される事由(正当業務行為等)がない限り、処罰の対象となる。
重要事実
被告人らは、特定の目的(判決文からは詳細不明)を持って他者の管理する建造物に立ち入り、退去を求められたにもかかわらずこれに応じず、かつ相手方の業務を妨害する行為に及んだ。被告人らは、自らの行為の目的や意図を根拠として、正当な行為であり違法性が阻却されるべきであると主張して上告した。
あてはめ
第一審が認定した事実に基づけば、被告人らの所為が業務妨害罪および建造物不退去罪の構成要件に該当することは明白である。弁護人は、特定の目的や事情を考慮すれば正当化されるべきだと主張するが、認定された事実関係の下では、その目的や意図がいかなるものであったとしても、構成要件に該当する当該行為を正当化し、犯罪の成立を阻却するに足りる事由があるとは認められない。
結論
被告人らの行為について、業務妨害罪および建造物不退去罪の成立を認めた原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、目的が主観的に正当であっても、客観的な態様が法益を侵害するものである限り、容易には正当行為として認められないことを示した。司法試験においては、労働争議や政治的抗議活動に伴う施設管理権侵害の事案で、行為の必要性と法益侵害の程度の均衡を検討する際の基礎的な判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和61(あ)1311 / 裁判年月日: 平成3年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】争議行為等の労働組合活動が正当性を有し違法性を欠くというためには、その動機や目的のいかんにかかわらず、態様が社会通念上許容される限度を超えないものでなければならない。 第1 事案の概要:被告人らは労働組合活動の一環として何らかの行為(具体的な実行行為の内容は判決文からは不明)に及んだが、その態様が…