判旨
憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」とは、組織構成等において偏頗のおそれのない裁判所による裁判を意味する。また、起訴状における訴因の明示の程度は、有罪判決における罪となるべき事実の判示方法とは別異の基準により判断されるべきである。
問題の所在(論点)
1. 憲法37条1項にいう「公平な裁判所」の意義。 2. 起訴状における訴因の明示(刑訴法256条3項)の適否を判断するにあたり、有罪判決における事実摘示(刑訴法360条1項)に関する基準を適用すべきか。
規範
1. 憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、裁判所の組織構成等において、偏頗のおそれのない裁判所を指す。 2. 起訴状における訴因の明示(刑訴法256条3項)については、裁判所が有罪判決において連続犯等に該当しない複数の犯罪行為を判示する基準(刑訴法360条1項)をそのまま適用するのではなく、起訴状独自の記載方法として正当か否かにより判断される。
重要事実
被告人が起訴状における訴因の記載方法が不明確であるとして、憲法37条1項の「公平な裁判を受ける権利」への侵害、および有罪判決における事実摘示に関する判例(刑訴法360条1項関連)への違反を主張して上告した事案。具体的な訴因の内容や公訴事実の細部は、本判決文からは不明である。
あてはめ
1. 憲法37条1項の趣旨は裁判所の組織的一般的な公正さを担保することにあり、訴因の記載方法という訴訟手続上の当否は同条の「公平な裁判所」の問題には該当しない。 2. 弁護人が引用する判例は刑訴法360条1項の有罪判決の判示方法に関するものであり、起訴状における訴因の明示が問題となっている本件とは事案の性質を異にするため、適切ではない。したがって、原判決が訴因の記載方法を正当とした判断に違法はない。
結論
本件上告は棄却される。起訴状における訴因の記載方法は、有罪判決の事実判示の基準とは独立して判断されるべきであり、憲法違反や判例違反には当たらない。
事件番号: 昭和26(あ)1694 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 棄却
一 仮りに捜索差押許可状に差し押えるべき物の特定を欠く違法があつたとしてもその一事によつて、所論差押調書そのものが無効となるものとはいえないし、また右調書を証拠に供することについては、被告人並びに弁護人が同意しているのみならず、原判決判示第一の事実は、右調書の記載を除外した他の証拠によつてもこれを認定し得るのであるから…
実務上の射程
訴因の特定(刑訴法256条3項)が争点となる際、憲法37条1項を根拠に争うことの限界を示すとともに、判決書における「罪となるべき事実」の認定(360条1項)と、起訴状における「訴因」の記載は区別して考えるべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和25(あ)938 / 裁判年月日: 昭和26年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、構成等において偏頗の恐れのない裁判所を指し、裁判所が自由な裁量に基づき証拠の採否や事実認定を行ったとしても、直ちに同条に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人が窃盗罪に問われた事案において、第一審の訴訟手続に違法があることや、裁判所が被告人に…