原判決は、第一審判決を破棄し自ら量刑処断したものであるから、所論量刑不当の控訴趣意につき判断を省略したのは正当である。
控訴審で破棄自判した場合と量刑不当の控訴趣意に対する判断の要否
刑訴法381条,刑訴法392条,刑訴法400,刑訴規則246
判旨
控訴審が第一審判決を破棄して自ら判決(自判)を行う場合、第一審の判決内容に対する不服(量刑不当等)についての判断を個別に示す必要はない。
問題の所在(論点)
控訴審が第一審判決を破棄して自判を行う際、第一審判決に対する控訴趣意(量刑不当等)について判断を示す必要があるか。刑事訴訟法上の理由不備の有無が問題となる。
規範
控訴審において、刑事訴訟法に基づき第一審判決を破棄し、自ら被告事件について判決(自判)を施す場合には、第一審判決の量刑等に対する控訴趣意について個別の判断を示すことを要しない。
重要事実
被告人が第一審判決に対し、量刑不当等を理由に控訴を申し立てた事案。原審(控訴審)は、第一審判決を破棄した上で、自ら量刑を決定して判決を言い渡した。これに対し弁護人は、控訴審が量刑不当の主張について判断を省略したことは理由不備等に当たると主張して上告した。
事件番号: 昭和26(あ)2030 / 裁判年月日: 昭和29年7月19日 / 結論: 棄却
原判決は、職権により、第一審判決の心神耗弱の認定を事実誤認として、同判決を破棄すべきものと判断したのであるから、心神耗弱の認定を前提とする控訴趣意については、特に判断を示すまでもない。
あてはめ
原判決は第一審判決を破棄した上で、自らの裁量により新たに量刑を決定し処断している。このように自判を行う場合には、もはや破棄された第一審判決の量刑の当否を論じる実益はなく、自らの判断を示すことで足りる。したがって、所論の量刑不当という控訴趣意に対して個別に判断を省略したとしても、正当な審理手続といえる。
結論
控訴審が自判を行う場合、第一審の量刑不当等の主張に対して判断を省略することは正当であり、理由不備には当たらない。
実務上の射程
刑事訴訟法における控訴審の構造(事後審的性格と続審的要素)に関連し、破棄自判時における理由記載の程度を画するものである。実務上、自判時には第一審判決への批判に対する応答義務が解消されることを示す。
事件番号: 昭和25(あ)1482 / 裁判年月日: 昭和26年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条に当たらない事実誤認や証拠標目の誤記等の主張については、記録を精査しても同法411条を適用すべき事由がない限り、適法な上告理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が、第一審判決を維持した原判決に対し、事実誤認があること、および証拠として存在しない「虚無の証拠」を断罪の資料に供…