記録によれば同人(註、共犯者たる証人を指す)は既に有罪の判決を受けて事件が確定し、服役中の第三者であつて、右供述(註、第一審公判廷における供述及び検察官に対する供述)は、その服役中のものにかかり、従つて、その供述は証言であつて、自白とはいえないことは明らかである。
有罪判決を受けて服役中の共犯者の供述の証拠能力
刑訴法317条,刑訴法143条,刑訴法321条1項2号,憲法38条
判旨
共犯者等の第三者が服役中に行った公判供述または検察官に対する供述は、証言の性質を有するものであり、憲法38条2項にいう「自白」には当たらない。
問題の所在(論点)
既に刑が確定して服役中である共犯者等の第三者が行った供述(証言)が、憲法38条2項にいう「自白」に含まれるか。
規範
憲法38条2項が強制等による不利益な供述を証拠とすることを禁じている「自白」とは、自己の刑事責任を認める被告人自身の供述を指す。既に判決が確定し、服役中である第三者が行う供述は、自己の事件に関するものではなく他人の被告事件に関する「証言」としての性質を有するものであり、右「自白」には該当しない。
重要事実
被告人A及びBの刑事事件において、証人C(既に有罪判決を受け刑が確定し、服役中の第三者)が第一審公判廷および検察官に対して供述を行った。弁護側は、当該供述が強制によるものであり、憲法38条2項に違反する自白であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、証人Cは既に有罪判決を受けて事件が確定しており、服役中の第三者という地位にある。Cの公判供述および検察官に対する供述は、自己の刑事被告事件についてのものではなく、他人の被告事件における「証言」であるといえる。また、記録上、当該供述が強制によるものであると窺わせる形跡も認められない。したがって、Cの供述は自白ではないため、自白排除法則の適用を受ける余地はないと解される。
結論
第三者の供述は証言であって自白には当たらないため、憲法38条2項違反の主張は理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力を検討する際、それが「自白」として憲法38条2項や刑訴法319条1項の適用を受けるのか、あるいは「証言」として伝聞法則等の適用を受けるのかを区別する際の基礎となる。第三者の地位にある者の供述は自白ではないことを明確にした射程を有する。
事件番号: 昭和26(あ)2587 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、被告人の自白の補強証拠となり得るとともに、被告人の自白が欠けている場合であっても、共犯者の自白のみで被告人を罪に問うことが可能である。 第1 事案の概要:被告人が第1審判決において有罪とされた事実について、弁護人は、第1審判決が被告人…