判旨
未遂罪の判決において刑法243条を適用した以上、同法43条を重ねて挙示する必要はなく、また未遂による刑の減軽は裁判所の任意的裁量に属する。
問題の所在(論点)
未遂罪の判決において、刑法243条のほかに刑法43条を重ねて挙示する必要があるか。また、未遂による減軽を行わないことが違法となるか。
規範
未遂罪を処罰する場合、処罰規定である刑法243条が適用・判示されていれば足り、未遂の定義規定である刑法43条を必ずしも引用する必要はない。また、未遂罪における刑の減軽(刑法43条但書)は裁量的減軽であり、減軽しないことも裁判所の裁量の範囲内である。
重要事実
被告人が窃盗に着手したが既遂に至らなかった事案(障害未遂)において、第一審判決は刑法243条(窃盗未遂)を適用して有罪としたが、刑法43条の挙示は行わず、また未遂による刑の減軽も行わなかった。弁護人は、43条の不挙示および刑の減軽を欠いた点、さらに被告人の出自を理由とした量刑不当を主張して上告した。
あてはめ
第一審判決は窃盗の障害未遂の事実を認定し、窃盗未遂罪を規定する刑法243条を明示している。同条は未遂の処罰根拠をなすものであり、これを適用判示した以上、未遂の一般的規定である同法43条を更に重ねて挙示しなくても、法令適用の違法はない。また、刑法43条による未遂減軽は裁量的なものであり、第一審が減軽を行わなかったとしても不当とはいえない。
結論
上告棄却。刑法243条を適用した判決において刑法43条を挙示する必要はなく、未遂減軽を行わなくとも適法である。
実務上の射程
罪数判断や法令適用において、未遂罪の処罰規定(各本条の未遂規定)を適用すれば、43条の引用が欠けていても判決の構成として不備はないことを示す。また、未遂減軽が任意的であるという実務上の運用を再確認する際に参照される。
事件番号: 昭和26(あ)1573 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、弁護人が主張する憲法違反の実質が刑事訴訟法411条に該当する事由(著しい正義に反する事情等)の主張にすぎない場合、上告適法の理由には当たらないと判断した。記録を精査しても、職権による判決破棄が必要な事由は認められないため、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、…
事件番号: 昭和42(あ)2843 / 裁判年月日: 昭和43年6月18日 / 結論: 棄却
被告人が、常習累犯として、同一の機会に同一の被害者からまず現金千円をすり取り、さらに現金七千円をすり取ろうとしたが逮捕されて遂げなかつた場合は、包括して窃盗既遂の一個の罪と認めるべきであるから、盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条、刑法第二三五条を適用すれば足り、その他に刑法第二四三条を適用すべきではない。