判旨
大赦令の施行により免訴の事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴の判決を言い渡すべきである。また、大赦の対象外となる余罪については、刑法等の規定に従い改めて刑を量定し直す必要がある。
問題の所在(論点)
上告審において大赦があったことが判明した場合、裁判所はどのような措置を講ずべきか。また、併合罪の一部のみが大赦の対象である場合の処断はどうあるべきか。
規範
被告事件について大赦があったときは、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをしなければならない。上告審においてこの事由が判明した場合には、同法411条5号により職権で原判決を破棄した上で、自判が可能なときは同法413条但書に基づき直接免訴の言渡しを行うべきである。この際、併合罪の関係にある一部の罪のみが大赦の対象である場合は、残余の罪について適法な法令適用を行い、改めて刑を画定する。
重要事実
被告人は、連合国軍総司令部(GHQ)の許可なくドル等の外国通貨を所持したとして、昭和22年政令165号違反等の罪に問われ、第一審および控訴審で有罪判決を受けた。しかし、上告審係属中の昭和27年、大赦令(昭和27年政令117号)が施行された。本件犯罪事実のうち一部の所為は同大赦令の対象となるものであったが、他の所為(昭和23年4月12日頃の538ドル所持等)は大赦の対象外であった。
あてはめ
本件のうち、一部の犯罪事実は大赦令により大赦があったことが認められる。これは刑事訴訟法337条3号の免訴事由に該当し、原判決を維持することは著しく正義に反するため、職権で原判決および第一審判決の当該部分を破棄する。大赦の対象外である残余の罪については、刑法45条前段の併合罪として、最も重い罪(538ドル所持の罪)について法定の加重を行い、罰金刑については合算した範囲内で量刑を決定するのが相当である。なお、証人尋問調書の証拠能力に関する弁護人の主張は、同意があることや現実の証拠採用がないことから、違憲の前提を欠く。
結論
大赦の対象となった犯罪事実については免訴とし、その他の犯罪事実については懲役8月および罰金2万円に処する。
事件番号: 昭和26(あ)2465 / 裁判年月日: 昭和28年1月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、当該部分について免訴を言い渡すべきであり、大赦の対象外の罪数については、適法な法令の適用に基づき併合罪として処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、連合国占領軍の物資(ドル表示軍票以外のもの)を所持したとして、…
実務上の射程
訴訟条件(免訴事由)の発生に伴う職権破棄自判の典型例である。答案上では、実体判決後に大赦や刑の廃止があった場合の処理として、刑事訴訟法337条各号と411条5号の適用関係を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和25(あ)2088 / 裁判年月日: 昭和27年8月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実にかかる罪について、上告審での判決前に大赦(昭和27年政令第117号)があった場合には、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和22年政令第165号違反の罪等により起訴され、第一審および原審で有罪判決を受けた。しかし、上告審の係属中に「大赦令…
事件番号: 昭和26(あ)5157 / 裁判年月日: 昭和27年10月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦があった場合、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の罪については、改めて刑を量定して処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産である煙草の所持(昭和22年政令165号3条1項違反)およびドル表示軍票の収受の罪に問われ、原…
事件番号: 昭和27(あ)146 / 裁判年月日: 昭和28年4月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦があった場合、上告裁判所は職権で原判決を破棄し、当該罪について免訴の判決を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は関税法違反等の罪に問われ、第一審および原審において有罪判決を受けていた。しかし、上告審での審理中に、昭和27年政令117号「大赦令」が公布・施行され、被告人が…
事件番号: 昭和26(れ)2413 / 裁判年月日: 昭和27年6月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決確定前に大赦があった場合には、刑事訴訟法411条5号等に基づき、原判決を破棄した上で免訴を言い渡すべきである。また、大赦の対象とならない他の併合罪については、別途刑を量定して処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産であるジャケットを正当な理由なく所持した事実(連合国占…