判旨
公訴事実にかかる罪について、上告審での判決前に大赦(昭和27年政令第117号)があった場合には、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴を言い渡すべきである。
問題の所在(論点)
上告審の判決前に、対象となる罪について大赦があった場合、裁判所はどのような裁判をすべきか。刑事訴訟法337条3号の適用の可否が問題となる。
規範
刑事訴訟法337条3号は、公訴が提起された事件について「大赦があったとき」は判決で免訴を言い渡すべき旨を定めている。上告審において職権で調査した結果、対象となる犯罪事実について大赦が認められる場合には、原判決を破棄した上で、当該部分について免訴を言い渡すのが相当である。
重要事実
被告人は昭和22年政令第165号違反の罪等により起訴され、第一審および原審で有罪判決を受けた。しかし、上告審の係属中に「大赦令(昭和27年政令第117号)」が公布・施行され、被告人が犯したとされる当該政令違反の罪が、大赦の対象となった。
あてはめ
本件公訴事実のうち、昭和22年政令第165号1条、3条の罪については、昭和27年政令第117号大赦令の規定により大赦があったことが認められる。大赦は刑罰権を消滅させる法的効果を持つため、実体的な有罪・無罪の判断を行う前提を欠くに至ったといえる。したがって、職権により原判決および第一審判決を破棄し、当該事実については刑事訴訟法337条3号を適用して免訴を言い渡すべきである。
結論
昭和22年政令第165号違反の事実について、被告人を免訴する。
実務上の射程
訴訟条件(免訴事由)の存否は職権調査事項であり、上告審であっても免訴事由が生じた場合には、実体判断を排して免訴を言い渡さなければならないことを示す。答案上は、訴訟終結事由が認められる場合の裁判形式(刑訴法337条)を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和26(あ)2465 / 裁判年月日: 昭和28年1月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】公訴事実の一部について大赦があった場合には、当該部分について免訴を言い渡すべきであり、大赦の対象外の罪数については、適法な法令の適用に基づき併合罪として処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、法定の除外事由がないにもかかわらず、連合国占領軍の物資(ドル表示軍票以外のもの)を所持したとして、…
事件番号: 昭和26(あ)2428 / 裁判年月日: 昭和28年2月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大赦令の施行により免訴の事由が生じた場合、最高裁判所は職権で原判決を破棄し、当該部分について免訴の判決を言い渡すべきである。また、大赦の対象外となる余罪については、刑法等の規定に従い改めて刑を量定し直す必要がある。 第1 事案の概要:被告人は、連合国軍総司令部(GHQ)の許可なくドル等の外国通貨を…
事件番号: 昭和26(あ)5157 / 裁判年月日: 昭和27年10月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決後に大赦があった場合、刑事訴訟法337条3号に基づき免訴の言渡しをすべきであり、併合罪の関係にある他の罪については、改めて刑を量定して処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産である煙草の所持(昭和22年政令165号3条1項違反)およびドル表示軍票の収受の罪に問われ、原…
事件番号: 昭和25(あ)1626 / 裁判年月日: 昭和27年9月26日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】裁判所が諸般の情状により実刑を科し刑の執行猶予を言い渡さないことは基本的人権を侵害せず、また、大赦の対象となった公訴事実については免訴の言渡しをなすべきである。 第1 事案の概要:被告人両名は、共謀の上、昭和24年4月から6月にかけて7回にわたり、神戸市内の占領軍兵営付近の路上で、連合国占領軍の財…
事件番号: 昭和26(れ)2413 / 裁判年月日: 昭和27年6月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】判決確定前に大赦があった場合には、刑事訴訟法411条5号等に基づき、原判決を破棄した上で免訴を言い渡すべきである。また、大赦の対象とならない他の併合罪については、別途刑を量定して処断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、連合国占領軍の財産であるジャケットを正当な理由なく所持した事実(連合国占…