判旨
第一審の公判調書等の記載に基づき、検証調書及び実況見分書について適法な証拠調べの手続きが履践されていると認められる場合には、その証拠能力を否定すべき違法は認められない。
問題の所在(論点)
検証調書及び実況見分書が証拠として採用されるにあたり、第一審において適法な証拠調べ手続がなされたといえるか、またその判断基準は何か。
規範
刑事訴訟法上の証拠調べ手続が適法に完了しているか否かは、第一審の公判調書をはじめとする訴訟記録の記載に基づき、客観的に判断されるべきである。
重要事実
被告人側は、本件の証拠となった検証調書及び実況見分書について、適法な証拠調べ手続が履践されていないとして、その証拠能力や手続の違法を主張し上告した。しかし、第一審の第一回公判調書には、当該証拠の取り調べに関する記載が存在していた。
あてはめ
第一審の第一回公判調書の記載を精査すると、当該検証調書及び実況見分書について適法な証拠調べが履践されていることが明らかである。したがって、手続を違法とする主張は前提を欠いており、証拠の採用過程に不当な点は認められない。また、記録を精査しても刑訴法411条の職権破棄事由には当たらないと解される。
結論
本件検証調書等の証拠調べ手続に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
証拠調べ手続の適否が争点となる場合、公判調書の記載が絶対的な証明力を有することを確認する趣旨で引用し得る。実務上、証拠能力の前提となる手続的適法性を検討する際の基礎的な判断基準を示すものである。
事件番号: 昭和26(あ)3639 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不当な手段により作成された疑いのある供述調書であっても、裁判所がこれを判決の証拠として採用していない以上、判決に影響を及ぼす違法があるとは認められない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、司法警察員作成の被告人の供述調書が拷問によって作成されたものであると主張し、その証拠採用を違憲・違法として上…