判旨
被告人が証拠物として差し押さえられた物品を、販売するために物置にしまい込んでいたと公判で供述した事案において、販売の目的をもって所持した事実は認められると判断した。
問題の所在(論点)
被告人が当該物件を「販売の目的」をもって所持していたといえるか、その認定の可否が問題となった。
規範
犯罪の主観的態様である「目的」の有無については、被告人の公判における供述内容、客観的な所持の状況、およびそれらの整合性を総合して判断すべきである。
重要事実
被告人は、前年2月頃に証拠物として差し押さえられた電球について、第一審の公判において裁判官から「販売するために物置にしまい込んでいたのか」と質問された。これに対し、被告人は「左様であります」と明確に肯定する供述を行った。弁護人は、被告人が販売の目的をもって所持したという証明がない旨を主張し、憲法違反を訴えて上告した。
あてはめ
記録上の事実関係によれば、被告人は第一審第6回公判において、当該電球を販売目的で物置に保管していた事実を自ら認める供述を行っている。この供述は、裁判官の具体的な質問に対してなされたものであり、不自然な点は見当たらない。したがって、被告人の主観的な販売目的を認定するための証拠は十分に存在するといえる。
結論
被告人が販売の目的をもって所持したという証明がないとする主張は、前提を欠くものであり、有罪判決は維持される。
実務上の射程
公判における被告人の自白的な供述が、主観的構成要件(目的)を認定する上での直接的な根拠となり得ることを示した事例である。実務上は、客観的状況と被告人の供述が一致する場合には、特段の事情がない限り、当該目的の存在を肯定する有力な資料となる。
事件番号: 昭和27(あ)3897 / 裁判年月日: 昭和28年9月3日 / 結論: 破棄自判
他人の登録商標と同一の商標を、類似の商品に貼付して、販売する目的で所持していたからといつて、商標法第三四条第二号違反をもつて論ずることはできない。