旧商標法八条一項本文にいういわゆる商号の普通使用にあたらないとされた事例
旧商標法8条1項
判旨
商標権の効力が及ばない「商号を普通に用いられる方法で表示する商標」に該当するか否かは、単に形式的に商号を表示しているかではなく、その表示態様が社会通念上普通に用いられる方法であるかによって判断される。
問題の所在(論点)
自己の商号を表示する商標の使用が、旧商標法8条1項本文(現行商標法26条1項2号)の「普通に用いられる方法で表示する商標」に該当し、商標権の効力が制限されるか否か。
規範
旧商標法8条1項本文(現行商標法26条1項2号)にいう「自己の……氏名、名称若しくは商号……を普通に用いられる方法で表示する商標」とは、その表示の態様が社会通念上普通に用いられると認められる方法によるものを指し、他人の登録商標との類否にかかわらず、商標権の効力が及ばない範囲を画定するものである。
重要事実
被告人は、他人の登録商標と類似する名称を自己の商号として使用していた。原審は、被告人による当該商号の使用態様が、旧商標法8条1項本文に規定される「商号の普通使用」には該当しないと判断した。被告人側はこの判断を不服として、判例違反等を理由に上告した。
あてはめ
最高裁判所は、被告人の商号使用が旧商標法8条1項本文にいう商号の普通使用にあたらないとした原判決の判断を、結論において正当であると認めた。具体的な事実関係の詳細は判決文からは不明であるが、単に自己の商号を掲げているという形式的事実のみをもって直ちに「普通に用いられる方法」による表示とは認められないとの判断枠組みを示したものである。
結論
被告人の商号使用は、商標権の効力が及ばない「普通に用いられる方法」による表示には該当せず、商標権侵害を構成する(上告棄却)。
実務上の射程
商標法26条1項各号の効力制限規定の解釈において、単に自己の名称等を表示しているという形式的側面だけでなく、書体や大きさ、配置等の具体的態様が「普通に用いられる方法」といえるかを検討する際の基礎となる判例である。実務上は、出所表示機能を発揮し他人の商標を冒用するような態様での使用を排斥する論理として活用される。
事件番号: 昭和57(行ツ)15 / 裁判年月日: 昭和57年11月12日 / 結論: 棄却
株式会社の商号から株式会社の文字を除いた部分は商標法四条一項八号にいう「他人の名称の略称」にあたり、右のような略称を含む商標は、右略称が当該株式会社を表示するものとして「著名」であるときに限り、商標登録を受けることができない。
事件番号: 昭和45(行ツ)95 / 裁判年月日: 昭和50年4月8日
【結論(判旨の要点)】「ふりおこし」等の普通名称あるいは慣用標章は、商標法3条1項1号または2号に基づき自他商品識別力を欠くため、特定の者に独占させることは適当ではなく、商標登録を受けることができない。 第1 事案の概要:本件において争点となった標章「ふりおこし」は、古くから特定の菓子(おこし)の製造販売に際して、一般…
事件番号: 昭和54(オ)145 / 裁判年月日: 昭和56年10月13日 / 結論: 棄却
一 不正競争防止法一条一項一号にいう他人の商品との混同の事実が認められる場合には、特段の事情がない限り、右他人は営業上の利益を害されるおそれがある者にあたるというべきである。 二 商標権者が登録商標に類似する標章を使用する行為は、不正競争防止法六条にいう「商標法ニ依リ権利ノ行使ト認メラルル行為」に該当しない。