登録商標が使用されている商品が、密輸入品のように、法の禁止する手段によつて得られたものであるとしても、その商標権または商標の専用使用権は保護されるべきものである。
密輸入品についてもその商標権または専用使用権は保護されるか
商標法78条
判旨
登録商標が使用されている商品が密輸入品等の法に禁止された手段で得られたものであっても、当該商標権または専用使用権は法律上保護される。また、指定商品である時計部品を製造販売する行為に登録商標を使用した場合は、当該商標の専用使用権の侵害を構成する。
問題の所在(論点)
不法な手段(密輸入等)によって得られた商品に登録商標が使用されている場合であっても、商標権または専用使用権の侵害として保護の対象となるか。また、指定商品である部品に登録商標を使用して製造販売する行為が専用使用権の侵害にあたるか。
規範
登録商標が使用されている商品が、密輸入品のように法の禁止する不法な手段によって得られたものであったとしても、そのことのみをもって商標権または商標の専用使用権が法律上の保護を否定されることはない。また、指定商品と同一の商品または部品の製造販売に登録商標を使用する行為は、原則として専用使用権を侵害するものと解される。
重要事実
被告人は、他者が商標登録の設定を受けている商標(指定商品:時計用の文字板、ケース、バンドその他の部品および附属品)を、腕時計用文字板に使用して製造・販売した。これに対し被告人側は、対象となった商品が密輸入品等のように法の禁止する手段で得られたものである場合には商標権の保護が及ばないこと、および本件行為が専用使用権の侵害には当たらないこと等を主張して争った。
あてはめ
本件において、登録商標が使用されている商品がたとえ密輸入品のように不法な手段で得られたものであっても、商標法が目的とする商標の自他識別機能や業務上の信用の保護を否定すべき理由にはならない。また、本件商標は時計用の文字板、ケース、バンド等を指定商品として登録されているところ、被告人はまさにこの指定商品である腕時計用文字板に当該商標を使用して製造販売を行っている。したがって、かかる行為は形式的にも実態的にも専用使用権の侵害に該当すると評価される。
結論
商標権または専用使用権は不法に得られた商品についても保護される。また、指定商品である部品に商標を使用した製造販売行為は専用使用権の侵害に該当する。
実務上の射程
商標の保護対象となる商品の取得過程の適法性と、商標権の侵害成立の可否は別次元の問題であることを示した。答案上は、商品自体の違法性を理由に商標権侵害を否定しようとする抗弁を排斥する際の論拠として使用できる。また、部品であっても指定商品に含まれていれば、その使用は当然に侵害を構成することを確認する事例である。
事件番号: 昭和44(あ)2117 / 裁判年月日: 昭和46年7月20日 / 結論: 棄却
一 正当な権限がないのに指定商品の包装に登録商標を付したものを販売する目的で処理する場合、その中身が商標権者自身の製品でしかも新品であることは、商標法三七条二号、七八条の罪の成立になんら影響を及ぼさない。 二 特段の美観要素がなく、もつぱら運搬用商品保護用であるとしても、商品を収容している容器としての段ボール箱は、商標…