判旨
判決において、共同正犯の成立を認めながら刑法60条の適用を明記しなかったとしても、それだけで判決を破棄すべき事由には当たらない。
問題の所在(論点)
共同正犯を認定して有罪とする際、判決書の法令の適用部分において刑法60条の適用を明記しなかったことが、判決を破棄すべき事由に該当するか。
規範
判決書において犯罪事実が共同正犯によるものと認定された場合、法令の適用において刑法60条の条文を明示しなかったとしても、そのこと自体が直ちに判決の破棄事由となるような違法を構成するものではない。
重要事実
被告人は共同正犯として起訴され、第一審判決は挙示する証拠を総合して犯罪事実を認定し、有罪とした。これに対し弁護人は、被告人の所為が仮に共謀によるものであったとしても、判決において共同正犯に関する刑法60条の適用が記載されていないことは、判決を破棄すべき違法であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、第一審判決が挙示する証拠を総合すれば判示犯罪事実を認定することが可能である。被告人の所為が共謀に基づく共同正犯にあたるとしても、その罪責を免れるものではない。当裁判所の判例(昭和23年(れ)第351号)の趣旨に照らせば、共同正犯に対して刑法60条の適用を明記しなかったからといって、判決を破棄すべき事由とはならないと解される。
結論
共同正犯に刑法60条の適用を記載しなくても、判決を破棄すべき事由とはならず、上告は棄却される。
実務上の射程
法令適用の不備に関する形式的な瑕疵の限界を示す判例である。実務上は刑法60条を記載すべきであるが、事実認定から共同正犯であることが明白であれば、条文の引用欠如のみを理由として無罪や差し戻しを勝ち取ることは困難である。
事件番号: 昭和40(あ)2102 / 裁判年月日: 昭和41年7月14日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和27(あ)2965 / 裁判年月日: 昭和27年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審判決において刑法60条の適用が明示されていない場合であっても、判文の全体から同条を適用したことが明白であれば、判決に違法はない。 第1 事案の概要:被告人Dを含む複数の被告人が関与した刑事事件において、第一審判決は被告人Dに対して刑罰を科したが、その法律適用の際、共同正犯の根拠規定である刑法…