懲役刑と罰金刑とを併科するに当つて特に併科を相当とする情状を判示する必要はない。
懲役刑と罰金刑と併科する場合に、特に併科を相当とする情状を判示することの要否
酒税法(昭和24年法律43号による改正前)60条,刑訴法335条,刑訴法378条4号
判旨
懲役刑と罰金刑を併科する場合において、裁判所は特に併科を相当とする情状を判決文中に判示することを要しない。
問題の所在(論点)
懲役刑と罰金刑を併科する際、判決書において「併科を相当とする情状」を具体的に判示することが、適法な量刑の要件として必要か。
規範
懲役刑と罰金刑との併科を規定する法条が適用される場合、その選択および併科の判断は裁判所の裁量に属し、特段の事情がない限り、併科を相当とする具体的な理由を個別に判示する必要はない。
重要事実
被告人が酒税法違反の罪に問われた事案において、第一審判決は被告人に対し懲役刑と罰金刑を併科した。これに対し弁護人は、懲役刑と罰金刑を併科するに当たっては、特に併科を相当とする情状を判示すべきであるにもかかわらず、これを欠いているとして法令違反を主張し、上告した。
あてはめ
本件において、第一審判決は当時の酒税法の規定に基づき、適法に懲役刑および罰金刑を選択し併科している。量刑は事実理非に基づき裁判所の裁量によって行われるものであり、併科という刑罰の選択自体が法規に則っている以上、その選択に至る詳細な情状を個別に列挙しなくとも、判決全体として量刑の妥当性が担保されていれば違法とはいえない。
結論
懲役刑と罰金刑を併科するにあたって、特に併科を相当とする情状を判示する必要はない。
実務上の射程
量刑理由の記載程度に関する判断であり、主刑の併科という重大な不利益を課す場合であっても、明文の規定がない限り、詳細な理由付記は必須ではないことを示した。刑事実務における判決書の記載事項の限界を画するものである。
事件番号: 昭和28(あ)727 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審判決が第一審判決を破棄し、自ら新たに量刑を判断して判決を言い渡す場合には、控訴理由として主張された量刑不当の点について個別に判断を示す必要はない。 第1 事案の概要:被告人が第一審判決に対し、量刑が不当に重いとして控訴を提起した。これに対し、原判決(控訴審)は第一審判決を破棄し、自ら被告人に…