昭和二四年法律第四三号による改正後の酒税法第六六条の解釈を誤り懲役及び罰金を併科した場合の罰金刑について刑法第四八条第二項を適用した違法があつても、刑訴第四一一条を適用すべきものとは認められない。
刑訴第四一一条にあたらない一事例
酒税法(昭和24年法律43号による改正後のもの)60条,酒税法(昭和24年法律43号による改正後のもの)66条,刑法48条,刑訴法411条
判旨
懲役及び罰金を併科する際に、罰金刑について刑法48条2項を適用することは違法であるが、それが直ちに刑訴法411条を適用して判決を取り消すべき事由には当たらない。
問題の所在(論点)
懲役及び罰金を併科する場合において、罰金刑について刑法48条2項を適用した法令違反が、刑訴法411条による職権破棄の対象となるか。
規範
刑法48条2項の適用誤りという法令違反があったとしても、それが当然に刑訴法411条の職権取消事由に該当するわけではない。特段の事情がない限り、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる場合にのみ同条が適用される。
重要事実
被告人に対し、第一審判決が酒税法違反等の罪について懲役刑及び罰金刑を併科した。その際、罰金刑の算定または執行に関連して刑法48条2項(二個以上の罰金その他の併科)を適用したが、これが法解釈上、不適切または誤りであるとして上告された事案である。
あてはめ
本件において、原審が維持した第一審判決が刑法48条2項を適用したことは、酒税法の解釈に照らして違法であると認められる。しかし、この法令違反は刑訴法405条所定の上告理由(憲法違反や判例相反)には該当しない。また、当該違反の性質や程度を考慮すると、判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められず、刑訴法411条を適用して原判決を職権で取り消すべきものとはいえない。
結論
上告棄却。刑法48条2項の適用誤りは違法ではあるが、刑訴法411条による破棄事由には当たらない。
実務上の射程
併科罪における刑の算定に関する法令違反があったとしても、それが直ちに職権破棄事由(刑訴法411条)となるわけではないという、裁判所の裁量的判断の枠組みを示す。答案上は、法令違反が認められる場合でも、その重大性(著しく正義に反するか否か)を別途検討すべき文脈で活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)692 / 裁判年月日: 昭和25年10月12日 / 結論: 棄却
一 従来酒税法でその犯則者に対して刑罰を科するおもなる趣旨は犯則によつて国に財政上の損失を生ぜしめないことを担保するにあるから、その刑罰も純然たる刑事犯と異り犯人の責任年齢、心神の状態、法の不知等の主観的条件を顧慮せずに各犯罪行為を客観的、数理的に考察して、罰金科料等の金刑だけを脱税額の倍数を以て決定し自由裁量を許さな…