判旨
憲法14条違反の主張が認められるためには、同条所定の事由によって差別待遇をしたことを疑うに足りる資料が存在する必要がある。また、記録を調査しても刑訴法411条を適用すべき事由が認められない場合には、上告は棄却される。
問題の所在(論点)
憲法14条違反の主張において、差別待遇の事実を裏付ける資料がない場合に違憲の主張が認められるか。また、刑訴法411条に基づき職権で原判決を破棄すべき事由が存在するか。
規範
憲法14条違反の主張が成立するためには、人種、信条、性別、社会的身分または門地といった同条所定の事由に基づき、不当な差別待遇がなされたことを示す具体的な資料が必要である。また、刑訴法411条(判決の破棄)を適用するためには、原判決を維持することが著しく正義に反すると認められる特段の事情(判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定の不当、重大な事実誤認等)が存在しなければならない。
重要事実
被告人が、憲法14条(法の下の平等)違反を理由として上告を申し立てた事案。弁護人は、被告人が差別待遇を受けている旨を主張したが、記録上、差別を裏付ける具体的な事実関係は明らかではなかった。
あてはめ
本件記録を精査しても、憲法14条が掲げる事由によって被告人を差別待遇したことを疑うに足りる資料は一切存在しない。したがって、違憲の主張はその前提を欠いているといえる。また、記録を詳細に調べても、刑訴法411条各号に掲げられたような、職権をもって原判決を破棄すべき事由(法令違反、量刑不当、事実誤認等)も認められない。
結論
憲法違反の主張は前提を欠き、また刑訴法411条を適用すべき事由も認められないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
憲法違反を上告理由とする際の疎明資料の必要性、および最高裁判所による刑訴法411条の職権破棄事由の有無に関する判断の枠組みを示すものである。実務上は、抽象的な違憲主張のみでは足りず、具体的資料に基づいた主張が必要であることを示唆している。
事件番号: 昭和54(あ)437 / 裁判年月日: 昭和54年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に前科があることを理由に事実認定において差別したと認められない限り、前科の存在を考慮した事実認定が憲法14条に違反することはない。また、量刑不当や実質的な事実誤認の主張は刑訴法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において有罪判決を受けた際、弁護人は憲法31条…