前科があることの故に事実認定において差別したものとは認められないとして、憲法一四条違反の主張が前提を欠くとされた事例
憲法14条
判旨
被告人に前科があることを理由に事実認定において差別したと認められない限り、前科の存在を考慮した事実認定が憲法14条に違反することはない。また、量刑不当や実質的な事実誤認の主張は刑訴法405条の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事裁判の事実認定において被告人の前科を考慮することが憲法14条の平等権に違反するか。また、実質的な事実誤認や量刑不当の主張が刑訴法405条の上告理由に含まれるか。
規範
前科の存在が事実認定に影響を及ぼしたとしても、それが直ちに憲法14条の法の下の平等に反する差別にあたるわけではなく、証拠に基づき適正に事実が認定されている限り憲法違反の法的問題は生じない。また、刑訴法405条の上告理由として、単なる事実誤認や量刑不当を主張することは認められない。
重要事実
被告人が刑事裁判において有罪判決を受けた際、弁護人は憲法31条違反(適正手続)および憲法14条違反(平等権)を主張して上告した。具体的には、原判決が被告人に前科があることを理由に事実認定において差別的な取扱いをしたと主張したが、記録上そのような差別的認定の事実は認められなかった。また被告人本人は量刑が不当である旨を主張した。
あてはめ
本件において、記録を精査しても原判決および第一審判決が被告人の前科を理由に不当な差別的認定を行った事実は認められない。したがって、憲法14条違反の主張は前提を欠く。また、憲法31条違反をいう主張は、その実質において事実認定の不当を争う事実誤認の主張にすぎず、被告人本人の量刑不当の主張とともに、適法な上告理由を構成しない。
結論
被告人の上告は刑訴法405条の上告理由にあたらないため、棄却される。
実務上の射程
本決定は、前科の存在を理由とした憲法違反の主張に対し、事実認定のプロセスに具体的な差別が認められない限りは失当であるとする実務的な判断を示したものである。答案上は、上告理由の限定性(事実誤認・量刑不当の排除)を確認する文脈で参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)1248 / 裁判年月日: 昭和27年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法14条違反の主張が認められるためには、同条所定の事由によって差別待遇をしたことを疑うに足りる資料が存在する必要がある。また、記録を調査しても刑訴法411条を適用すべき事由が認められない場合には、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が、憲法14条(法の下の平等)違反を理由として上告を申し…