牽連犯に関する規定を刑訴二五六条四項にいわゆる罰条として掲げなくとも違法ではない。
牽連犯に関する規定を、刑訴二五六条四項にいわゆる罰条として掲げることの要否
刑訴法256条4項
判旨
起訴状に記載すべき「罪名」として刑法54条1項後段の牽連犯に関する規定を掲げなかったとしても、刑事訴訟法256条4項の違反として違法となることはない。
問題の所在(論点)
数個の罪が牽連犯の関係にある場合、起訴状の罪名(罰条)欄に刑法54条1項後段の規定を記載する必要があるか。刑事訴訟法256条4項の「罪名」の記載事項が問題となる。
規範
刑事訴訟法256条4項が求める「罪名」の記載においては、適用されるべき罰条を掲げることが必要であるが、数個の罪が牽連犯の関係にある場合に、同法54条1項後段の規定自体を罰条として明示することまでは要しない。
重要事実
被告人が起訴された事案において、検察官は起訴状に罰条を記載したが、複数の犯罪が牽連犯(刑法54条1項後段)の関係にあることを示す規定を、刑事訴訟法256条4項にいう「罰条」として記載していなかった。弁護人は、この記載の欠落が同項に違反する違法なものであると主張して上告した。
あてはめ
刑事訴訟法256条4項は、起訴状に罰条を掲げなければならないとしている。牽連犯は科刑上の合一的な取扱いを定める規定であり、構成要件を定める罰条そのものではない。したがって、個々の犯罪に対応する罰条が記載されている以上、牽連犯に関する規定が掲げられていなくても、被告人の防御に実質的な支障を生じさせるものではなく、同項の要求する罪名の記載として欠けるところはないと解される。
結論
牽連犯に関する規定を起訴状の罰条として掲げなくとも違法とはいえないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
起訴状の罪名・罰条の記載の程度に関する判例である。実務上、併合罪や牽連犯などの科刑上の数罪の関係については、罪名欄に「(予備的に)〜」や「(併合罪)〜」と付記することが一般的であるが、本判決によればその記載が欠けていても直ちに公訴棄却事由となるような違法にはならない。起訴状の記載の有効性を論じる際の消極的な規範として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)4843 / 裁判年月日: 昭和28年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、偏頗の恐れがなく、中立公正な立場において裁判を行う裁判所を指すものであり、量刑が不当であるとの主張は、同項の趣旨に反するとの憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、第一審判決の量刑を不当として控訴したが、原審(控訴審)においても量刑…