訴訟救助却下決定に対する抗告審において、当事者の審尋を経ないで審理裁判しても、その裁判は憲法八二条に違反しない。
訴訟救助却下決定に対する抗告審の審理裁判と憲法八二条
憲法82条,民訴法419条
判旨
憲法82条1項の「裁判」とは、終局的に当事者の実体的権利義務を確定する純然たる訴訟事件の裁判を指し、訴訟救助却下決定に対する抗告却下決定はこれに含まれない。
問題の所在(論点)
訴訟救助却下決定に対する抗告却下決定のような付随的な決定について、対審及び判決の公開を定めた憲法82条の規定が適用されるか。
規範
憲法82条が対審及び判決の公開を求めている「裁判」とは、終局的に当事者の主張する実体的権利義務を確定することを目的とする、いわゆる純然たる訴訟事件についての裁判のみを指すものと解すべきである。
重要事実
抗告人は、訴訟救助却下決定に対する抗告を申し立てたが、原審は当事者である抗告人を審尋することなく、当該抗告を却下する決定を下した。これに対し、抗告人は、対審を経ずに裁判を行うことは憲法82条の裁判の公開原則に反する旨を主張して抗告した。
あてはめ
事件番号: 昭和28(ク)96 / 裁判年月日: 昭和28年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】下級裁判所の決定に対する最高裁判所への抗告の許否は原則として立法政策の裁量に委ねられており、違憲を理由とする場合を除き抗告を認めないとしても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、高等裁判所の決定に対し、法令違反を理由とする抗告または再抗告の申し立てを認めないことは、憲法により保障された訴…
本件で争われている訴訟救助却下決定に対する抗告却下決定は、当事者の実体的権利義務を終局的に確定させる手続ではない。したがって、憲法82条が予定する「純然たる訴訟事件についての裁判」には該当しない。ゆえに、当事者の審尋を行わずに審理・裁判したとしても、同条に違反するものではないと判断される。
結論
訴訟救助却下決定に対する抗告却下決定は憲法82条の「裁判」にあたらず、公開の対審を経る必要はないため、原決定に憲法違反はない。
実務上の射程
司法試験においては、憲法82条の「裁判」の意義を問う問題や、非訟事件・付随的申立ての公開の要否が問われる場面で使用する。実体的権利義務の存否を確定させる「純然たる訴訟事件」か、それ以外の「形式的形成訴訟」や「付随的決定」かを区別する際のリーディングケースとなる。
事件番号: 昭和31(ク)182 / 裁判年月日: 昭和31年7月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】行政機関は法人である自治体の内部機関にすぎず、独立した権利の主体ではないため、自治の権能の侵害を理由とする憲法違反の主張をすることはできない。 第1 事案の概要:抗告人(特定の市の機関)は、原決定が自治の本旨に基づいて当該機関が有する権能を侵し、憲法92条の趣旨に反すると主張して、最高裁判所に抗告…
事件番号: 昭和46(ク)419 / 裁判年月日: 昭和46年12月21日 / 結論: 棄却
強制競売における競落許可決定およびその抗告審の決定をなすにつき、口頭弁論または当事者の審尋を経ないでも、憲法三二条、八二条の規定に違反するものではない。
事件番号: 昭和53(ク)188 / 裁判年月日: 昭和53年7月13日 / 結論: 棄却
裁判官忌避申立却下決定及びこれに対する抗告事件についての抗告棄却決定は、口頭弁論を経ないでしても、憲法八二条に違反しない。
事件番号: 昭和23(ク)12 / 裁判年月日: 昭和23年4月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法上特に認められた場合を除き、原則として申し立てることができない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた。しかし、当該抗告は当時施行されていた応急的措置に関する法律等の特別の規定に基づくものではなく、一般の抗告として申し立てられたものであった。…