現行競売法(これに準用される民訴法の規定を含む。)の規定のもとにおいて、利害関係人に対し競売期日を通知するものとするかどうかは、もつぱら立法政策の問題であつて、憲法適否の問題ではない。
競売法二七条二項と憲法二九条一項
競売法27条2項,憲法29条1項
判旨
競売法27条2項が競売期日の通知を「発すること」で足りるとし、現実の「到達」を要件としていない点は、立法政策の問題であり、憲法29条1項の財産権保障に違反しない。
問題の所在(論点)
旧競売法27条2項が競売期日の通知を発信主義(通知を発すること)としていることが、競売物件所有者の財産権(憲法29条1項)を侵害し、違憲といえるか。
規範
不動産競売手続において、利害関係人に対し競売期日を通知するか否か、また通知する場合に「発信主義」を採用するか「到達主義」を採用するかは、手続の迅速性や確実性等の観点から決定されるべき立法政策の問題である。開始決定の送達等、他の手続的保障が確保されている限り、期日通知の到達を必須としない規定も憲法に違反しない。
重要事実
不動産競売事件の所有者である抗告人は、旧競売法27条2項が利害関係人(所有者を含む)に対する競売期日の通知に関し、これを発すれば足りると定めている点について争った。抗告人は、所有権を失う恐れがある重大な利害関係人に対しては、通知が現実の到達して了知されることが必要であり、発信主義を採る同規定は憲法29条1項の財産権保障に違反すると主張して、特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和46(ク)215 / 裁判年月日: 昭和47年3月1日 / 結論: 却下
任意競売において入札払いの方法によるかどうかを利害関係人の選択に委ねたとしても、直ちに、抵当権の実行手続の適正公平を害し、抵当権設定者の財産権を不当に害するものとはいえない。
あてはめ
まず、競売手続においては民訴法が準用され、裁判所は職権で所有者に対し競売開始決定正本を送達する必要がある。本件でも実際に開始決定が送達されており、所有者は競売の開始自体は把握可能である。また、同法27条1項により競売の公告も行われる。このような他の手続的保障が存する中で、個別の競売期日の通知を到達まで要求せず発信主義に留めることは、手続の円滑な進行を図る合理的な立法政策の範疇に属するといえる。したがって、所有者の権利を不当に制限するものとは認められない。
結論
旧競売法27条2項は憲法29条1項に違反しない。したがって、違憲を前提とする本件抗告は不適法であり却下される。
実務上の射程
手続法上の通知の態様(発信主義か到達主義か)が憲法問題になる場合の、立法裁量の広さを示す判例として重要である。答案上は、手続的適正が他の制度(開始決定の送達や公告等)によって代替的に確保されているかを分析する際のメルクマールとなる。
事件番号: 昭和52(ク)331 / 裁判年月日: 昭和52年11月14日 / 結論: 却下
競売法二七条四項は任意競売手続における利害関係人の範囲を定めた規定であつて、憲法三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がない。
事件番号: 昭和51(ク)109 / 裁判年月日: 昭和52年1月27日 / 結論: 却下
競売の利害関係人が外国に在るときは同人に対して競売期日の通知を要しないとした競売法二七条三項により生ずる利害関係人の不利益は憲法三二条の裁判を受ける権利とは関係がない。
事件番号: 昭和29(ク)37 / 裁判年月日: 昭和29年2月19日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法上の特別抗告(現行法336条相当)に限られ、その理由は憲法違反の主張が含まれている必要がある。単なる法令解釈の誤りを争うものは憲法違反の主張とは認められず、最高裁判所に対する抗告理由として不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、競落許可決定の言渡しが判決の言…
事件番号: 昭和25(ク)29 / 裁判年月日: 昭和25年7月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法330条に相当)に規定された特別抗告のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件抗告が、法律上最高裁判所への申立…