任意競売において入札払いの方法によるかどうかを利害関係人の選択に委ねたとしても、直ちに、抵当権の実行手続の適正公平を害し、抵当権設定者の財産権を不当に害するものとはいえない。
任意競売において入札払いの方法によるかどうかを利害関係人の選択に委ねることは抵当権設定者の財産権を不当に害するものといえるか
競売法34条,憲法29条
判旨
抵当権の実行方法として入札払いの選択を認める旧競売法34条は、手続の適正公平や抵当権設定者の財産権を不当に害するものではなく、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
抵当権の実行方法として入札払いを認める旧競売法34条が、競売に比べて目的不動産の有利な売却を妨げ、抵当権設定者の財産権を侵害するものとして憲法に違反するか。
規範
不動産の売却方法として競売と入札払いのいずれが有利であるかは具体的事件により結果的に定まるものである。したがって、入札払いの選択を利害関係人に委ねる規定が直ちに手続の適正公平を害し、または抵当権設定者の財産権を不当に侵害するとはいえない。
重要事実
抵当権の実行手続において、旧競売法34条に基づき入札払いの方法がとられた事案である。これに対し抗告人は、入札払いは競争による買受価額のせりあげがないため、競売に比して不動産を低廉な価格で売却することになり、抵当権設定者の財産権を侵害する違憲な規定であると主張して、同条の違憲を理由に抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和52(ク)331 / 裁判年月日: 昭和52年11月14日 / 結論: 却下
競売法二七条四項は任意競売手続における利害関係人の範囲を定めた規定であつて、憲法三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がない。
あてはめ
入札払いが競売と異なる主たる点は、競争による買受価額のせりあげがないことにある。しかし、いずれの方法が不動産をより有利な価格で売却できるかは、個別の事案ごとに結果的に定まる性質のものである。そうであれば、入札払いの選択肢を設けることは、抵当権実行手続の適正公平を欠くものとはいえず、債務者等の財産権に対する不当な制約にも当たらない。
結論
旧競売法34条は憲法に違反しない。したがって、本件抗告は民事訴訟法上の抗告理由(憲法違反)を欠く不適法なものとして却下される。
実務上の射程
民事執行法下では売却方法は裁判所の裁量に属するが(民執法60条等)、本判決は、執行手続における売却手法の選択肢が広く立法府・裁判所に委ねられていること、およびそれが入札形式であっても直ちに財産権侵害にはならないという基本的枠組みを示すものとして活用できる。
事件番号: 昭和36(ク)63 / 裁判年月日: 昭和36年3月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】抵当権実行のための不動産競売手続は非訟事件であり、その裁判は憲法82条が定める公開法廷における対審及び判決を必ずしも必要としない。 第1 事案の概要:抗告人が、抵当権実行としての不動産競売手続における競落許可決定に対し即時抗告を申し立てた。抗告人は、当該即時抗告事件の審理裁判が口頭弁論(公開の法廷…
事件番号: 昭和41(ク)444 / 裁判年月日: 昭和42年2月3日 / 結論: 棄却
民訴法第四一九条ノ二第一項は憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和55(ク)101 / 裁判年月日: 昭和55年6月19日 / 結論: 却下
現行競売法(これに準用される民訴法の規定を含む。)の規定のもとにおいて、利害関係人に対し競売期日を通知するものとするかどうかは、もつぱら立法政策の問題であつて、憲法適否の問題ではない。
事件番号: 昭和51(ク)109 / 裁判年月日: 昭和52年1月27日 / 結論: 却下
競売の利害関係人が外国に在るときは同人に対して競売期日の通知を要しないとした競売法二七条三項により生ずる利害関係人の不利益は憲法三二条の裁判を受ける権利とは関係がない。