競売法二七条四項は任意競売手続における利害関係人の範囲を定めた規定であつて、憲法三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がない。
競売法二七条四項と憲法三二条
憲法32条,競売法27条4項
判旨
競売手続において利害関係人の範囲を定める規定は、憲法32条にいう裁判を受ける権利とは無関係であるため、同規定を違憲とする主張は前提を欠く。
問題の所在(論点)
競売手続において利害関係人の範囲を限定する規定が、裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反するか。また、これを理由とする抗告が適法な憲法違反の主張にあたるか。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事訴訟法上特に許容された特別抗告等(現行民訴法336条等)に限られる。また、手続上の利害関係人の範囲を画定する規定は、実体上の権利実現を保障する裁判を受ける権利(憲法32条)を制約するものではない。
重要事実
抗告人は、競売手続における利害関係人の範囲を定めた当時の競売法27条4項および民事訴訟法648条の規定が、適正な手続を保障せず憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張して、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。
あてはめ
事件番号: 昭和51(ク)109 / 裁判年月日: 昭和52年1月27日 / 結論: 却下
競売の利害関係人が外国に在るときは同人に対して競売期日の通知を要しないとした競売法二七条三項により生ずる利害関係人の不利益は憲法三二条の裁判を受ける権利とは関係がない。
競売法27条4項および民事訴訟法648条は、競売手続という執行段階において手続に関与できる主体を画定する規定にすぎない。これらは裁判所へのアクセスや実体的な裁判を求める権利そのものを否定するものではなく、憲法32条が保障する裁判を受ける権利の内容とは何ら関係がないといえる。したがって、当該規定が違憲であるとの主張は、憲法上の問題を生じさせる余地がなく、実質的には単なる法令違反の主張に帰する。
結論
競売手続の利害関係人の範囲規定は憲法32条に違反しない。本件抗告は適法な抗告理由を欠くため、却下される。
実務上の射程
民事執行・競売手続における関与権の限定が憲法32条違反を構成しないことを示す。答案上は、執行手続における手続的権利の性質を論じる際や、特別抗告の要件である「憲法違反」の主張が実質的な法令違反にすぎないことを指摘する際の論拠として利用できる。
事件番号: 昭和51(ク)77 / 裁判年月日: 昭和51年11月25日 / 結論: 却下
競売法二七条二項に基づく競売期日の通知は発せられたが到達しなかつた利害関係人が競売手続に参加する機会を失つたことにより被る不利益は、憲法三二条所定の裁判を受ける権利の侵害とはなんらの関係がない。
事件番号: 昭和41(ク)444 / 裁判年月日: 昭和42年2月3日 / 結論: 棄却
民訴法第四一九条ノ二第一項は憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和38(ク)12 / 裁判年月日: 昭和39年1月28日 / 結論: 却下
競売手続においての利害関係人を定める民訴法第六四八条の規定は、憲法第三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がない。
事件番号: 昭和34(ク)151 / 裁判年月日: 昭和34年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条は裁判を受ける権利を保障するが、具体的な裁判所の権限や審級等の制度設計は立法府の裁量に委ねられており、最高裁判所への抗告が法律で制限されていても憲法に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所に対する抗告を制限する法運用は、裁判所法7条2号を空文化させ、憲法32条(裁判を受ける…