内縁関係により懐胎出生し、民法七七二条の類推適用により父性の推定を受ける子についても、認知の訴の提起にあたつては出訴期間の制限に関する同法七八七条但書の適用がある(昭和四四年(オ)第七六九号同年一一月二七日第一小法廷判決・民集二三巻一一号二二九〇頁参照)。
民法七七二条の類推適用により父性の推定を受ける子の認知の訴と同法七八七条但書の適用の有無
民法772条,民法787条
判旨
内縁関係にある男女間に生まれた子について、民法772条を類推適用して父性の推定を受ける場合であっても、強制認知の訴えを提起するには、同法787条但書の出訴期間制限が適用される。
問題の所在(論点)
内縁関係により懐胎出生し、民法772条の類推適用によって父性の推定を受ける子について、認知の訴えを提起する際、民法787条但書が定める出訴期間の制限が適用されるか。
規範
内縁関係の間に懐胎・出生し、民法772条の類推適用により父性の推定を受ける子であっても、認知の訴えの提起に関しては、民法787条但書の出訴期間の制限が適用される。法律上の婚姻関係がない以上、認知によらなければ父子関係が確定しないため、法的安定性の観点から期間制限を免れない。
重要事実
内縁関係にある父母の間に生まれた子が、父に対して認知を求める訴えを提起した事案。本件において、子は民法772条の類推適用により父性の推定を受ける地位にあった。しかし、認知の訴えの提起が、父の死亡後などの一定期間(民法787条但書)を経過した後になされたか、あるいは同条の期間制限の適否が争点となった。
あてはめ
民法772条の類推適用により父性が強く推認される状況にある子であっても、嫡出子としての身分を当然に取得するわけではなく、父子関係の確定には認知の手続を要する。認知の訴え(強制認知)は、死後認知の場合を含め、親族関係の早期安定を図る趣旨から民法787条但書による期間制限が設けられている。本件のような類推適用を受けるケースにおいても、この制度趣旨は妥当するため、同条の制限を排除すべき理由はない。
結論
内縁関係に基づき父性の推定を受ける子の認知の訴えについても、民法787条但書の出訴期間の制限が適用される。
実務上の射程
内縁の子について民法772条を類推適用する構成をとる場合であっても、認知という手続を履践する以上、787条但書の期間制限(父の死亡の日から3年以内)を遵守する必要があることを示した。実務上、死後認知の訴えを構成する際の期間管理において不可欠な視点である。
事件番号: 昭和25(オ)323 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
一 人事事件においても、証拠調の限度は、裁判所が既に得た心証の程度により自由に定め得るものであつて、人訴第三一条は、何等これを制限変更するものではない。 二 内縁の妻が内縁関係成立の日から二百日後、解消の日から三百日以内に分娩した子は民法第七七二条の趣旨にしたがい内縁の夫の子と推定する。