負担附贈与がされた場合における贈与税の課税価格は、右贈与にかかる財産の時価から当該負担額を控除した価額である。
負担附贈与と贈与税の課税価格
相続税法2条の2,相続税法21条の2,民法553条
判旨
負担付贈与における贈与税の課税価格は、贈与目的物の時価から受贈者が負担する債務の額を控除した残額により算定すべきである。
問題の所在(論点)
負担付贈与がなされた場合における贈与税の課税価格は、目的物の時価そのものか、あるいは時価から負担した債務額を控除した額か(相続税法上の課税価格の算定方法)。
規範
贈与税の課税価格の算定において、受贈者が一定の給付をなすべき義務を負う負担付贈与がなされた場合には、贈与財産の価額(時価)から当該負担額(債務額)を差し引いた実質的な受贈利益の額をもって課税価格とする。
重要事実
上告人は、昭和46年6月8日、訴外亡D及び同Eの各相続人らから、時価360万円相当の土地(本件土地)の贈与を受けた。この際、上告人は当該相続人らに対し合計100万円を支払うという債務を負担した。しかし、課税当局は本件土地の時価全額である360万円を課税価格として贈与税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定を行った。
事件番号: 昭和62(行ツ)142 / 裁判年月日: 昭和63年7月19日 / 結論: 棄却
所得税法六〇条一項一号にいう「贈与」には贈与者に経済的な利益を生じさせる負担付贈与を含まない。
あてはめ
本件において、上告人は本件土地の贈与を受けるにあたり、100万円の支払債務を負担している。本件土地の贈与時における時価は360万円であることから、受贈者が得た実質的な経済的利益は、この時価360万円から負担した債務額100万円を控除した残額であると評価される。したがって、贈与税の算定根拠となる課税価格は260万円となる。
結論
本件贈与税の課税価格は260万円であり、これを超える部分の決定処分及び無申告加算税賦課決定は違法として取り消されるべきである。
実務上の射程
負担付贈与における課税標準の算定基準を明示した基本判例である。答案上は、実質所得課税の原則や贈与税の性質(受贈者の利益に着目する点)に言及しつつ、課税価格の算定において「負担額の控除」を導く際の根拠として活用する。なお、本判決は私的自治の観点から合意された負担を正当に評価したものといえる。
事件番号: 平成20(行ヒ)241 / 裁判年月日: 平成22年7月16日 / 結論: 破棄自判
社団たる医療法人の定款に,出資した社員が退社時に受ける払戻し及び当該法人の解散時の残余財産分配はいずれも当該法人の一部の財産についてのみすることができる旨の定めがある場合において,当該定款には上記定めの変更を禁止する旨の条項があるものの,法令において定款の再度変更を禁止する定めがなく,上記一部の財産の範囲に係る当該定款…
事件番号: 昭和41(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)第五条の二の規定は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得とし、それを右資産の他への移転の時期において課税の対象とするのを相当と認め、それが対価を伴わずに移転される場合にもいわゆる譲渡所得に準じて取り扱うべきものとしたのであつて、所得のないところに課税所得の存在を擬…
事件番号: 平成20(行ヒ)139 / 裁判年月日: 平成23年2月18日 / 結論: 破棄自判
香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が国外財産の贈与を受けた場合において,当該贈与を受けたのが上記赴任の開始から約2年半後のことであり,通算約3年半にわたる赴任期間中の約3分の2の日数を香港の居宅に滞在して過ごし,その間に現地での業務に従事していたなど判示の事実関係の下では,上記期間中の約4分の1の日数を国…
事件番号: 昭和51(行ツ)99 / 裁判年月日: 昭和52年2月17日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法一四条四項により出訴期間の計算をする場合には、「裁決があつたことを知つた日又は裁決の日」を期間に算入すべきである。