振出日白地の確定日払の為替手形の取立委任を受けた銀行と取立委任者との間に白地補充について特段の合意がなく、かつ、各種金融機関が取立委任を受ける確定日払の手形には振出日白地のものが多数あり、金融機関は、手形所持人に白地補充を促したり、自ら補充したりしないでそのまま取立に回すのが慣習であり、手形交換所の定めにおいても確定日払の手形の振出日の白地は「形式的不備」に該当しないものとされていたなど、原判示の事実関係のもとにおいては、銀行は委任者に対し、右白地の補充を促し又は自ら補充する義務を負うものではない。
振出日白地の確定日払の為替手形の取立委任を受けた銀行に白地補充等の義務がないとされた事例
手形法1条7号,手形法10条,手形法18条,民法644条
判旨
白地手形の所持人が、裏書人等に対して手形の白地を補充する等の義務を負うことはない。
問題の所在(論点)
白地手形の所持人は、裏書人等の他の手形債務者に対し、手形の白地を補充して完全な手形とする義務を負うか。
規範
手形法上の白地手形の所持人は、自ら白地を補充して権利を行使できる地位にあるにすぎず、特段の合意がない限り、他の手形債務者のために白地を補充すべき義務を負うものではない。
重要事実
上告人(手形債務者)は、被上告人ら(手形所持人)に対し、本件手形の白地部分を補充する義務がある旨を主張して争ったが、原審は当該事案の事実関係に基づき、被上告人らにそのような義務は認められないと判断した。上告人はこれを不服として上告した。
あてはめ
本件において、被上告人らが手形の白地を補充すべき義務を負うとする特段の事情は認められない。所持人は白地補充権を行使するか否かの自由を有しており、補充をしないことによって手形上の権利が確定しない不利益を享受するのは所持人自身である。したがって、被上告人らが補充義務を怠ったとする上告人の主張は、手形法上の権利義務関係に照らし正当とはいえない。
結論
被上告人らに本件手形の白地を補充する義務があるとはいえず、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、白地補充権の行使が所持人の「権利」であって「義務」ではないことを確認したものである。答案上は、所持人の過失や義務違反を構成しようとする主張に対し、補充権の法的性質を理由に否定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和37(オ)1089 / 裁判年月日: 昭和38年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形法14条の規定に照らし、白地裏書がなされた手形を取得した者は、白地を補充することなくそのまま更に裏書譲渡することが可能であり、白地補充の欠缺を理由に手形権利の行使が否定されることはない。 第1 事案の概要:上告人は、本件手形の裏書が白地裏書であったところ、その白地補充が欠けていることを理由に、…