医療法人に対して建物明渡を命ずる判決が確定しているのにかかわらず、理事において、新たに患者を入院させることを中止し、既に入院している患者を転退院させ、更には右建物での病院の業務を廃止するなど右建物を明渡すべき努力をしなかつたが、もしその努力をしておればおそくとも判決確定後二年三箇月後には右建物の明渡が可能とみられるなど原判示の事情のもとにおいては、右期間経過後も右建物の占有を継続したことによる賃料相当の損害については、各理事も不法行為責任を免れない。
医療法人による建物の不法占有について理事個人の不法行為責任が認められた事例
医療法68条,民法44条1項,民法709条
判旨
本判決は、原審が認定した事実関係に基づき、上告人らに不法行為責任(民法709条)が認められるとした原判決の判断を正当として是認し、上告を棄却したものである。
問題の所在(論点)
民法709条に基づく不法行為責任の成否が問題となった。具体的には、原審が認定した事実関係において、上告人らの行為に違法性や過失が認められ、不法行為責任を負うべきか否かが争点となった。
規範
不法行為(民法709条)の成立要件として、故意又は過失により他人の権利又は法律上保護される利益を侵害し、それによって損害が発生したことが必要である。具体的な不法行為責任の成否は、事実認定に基づき、当該行為の違法性や過失の有無を総合的に判断して決定される。
重要事実
本判決文からは具体的な事案の詳細は不明である。原審において、上告人らの行為に関する事実認定が行われ、それに基づき不法行為責任が肯定された。上告人らはこの事実認定や判断を不服として上告したが、最高裁は原審の証拠関係に照らして事実認定を適法と認めた。
あてはめ
最高裁は、原審が挙げた証拠関係に照らし、事実認定は適当であるとした。その事実関係を前提とするならば、上告人らに不法行為責任があるとした原審の判断は正当であり、法令の違反や判断の誤りはないと論理構成した。個別の具体的なあてはめ要素については、判決文からは不明である。
結論
上告人らに不法行為責任があるとした原審の判断は正当であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、不法行為責任の成否が事実認定に強く依存することを改めて示すものである。実務上は、本判決単体から新たな規範を導くことは困難だが、上訴審において事実認定の妥当性が維持される限り、その前提となる不法行為責任の判断も維持されるという手続的な確認として機能する。
事件番号: 昭和50(オ)444 / 裁判年月日: 昭和50年10月17日 / 結論: 棄却
嫌忌される施設の設置、運営による損失が不法行為に基づき賠償すべき損害にあたるか否かは、被侵害利益ないし権利の性質、程度、施設の社会的有用性、損害の発生を防止、軽減すべき処置をとりうる可能性、施設設置の意図、設置場所等諸般の事情を総合して、社会通念上受忍すべき限度をこえるか否かによつて決められるべきであるところ、本件火葬…