本邦に不法入国し、そのまま在留を継続する外国人は、出入国管理令九条三項の規定により決定された在留資格をもつて在留するものではないので、在留が長期間平穏に継続されたからといつて直ちに法的保護を受けうるものではない。
不法入国のまま在留を継続する外国人の法的地位
出入国管理令9条3項,出入国管理令24条2号
判旨
不法入国し在留を継続する外国人は、正当な在留資格を有しないため、その在留が長期間平穏に継続されたとしても、直ちに法的保護の対象となるものではない。
問題の所在(論点)
不法入国後に長期間平穏に在留を継続したという事実によって、当該外国人に法的保護を受けるべき権利ないし利益が認められるか。
規範
本邦に不法入国し在留を継続する外国人は、出入国管理令(現行の入管法)所定の在留資格を有するものではない。したがって、その在留は違法状態の継続にすぎず、期間の長短や平穏性の有無にかかわらず、その事実のみをもって直ちに法的保護を受ける権利ないし法的利益が生じることはない。
重要事実
上告人らは、本邦に不法入国した後、そのまま長期間にわたって在留を継続していた。上告人らは、その在留が長期間平穏に継続されたことを理由に、当該在留状態が法的保護を受けるべきであると主張して争った。
事件番号: 昭和53(行ツ)127 / 裁判年月日: 昭和55年3月7日 / 結論: 棄却
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律二条六項は出入国管理令二四条の適用を排除するものではない。
あてはめ
上告人らは在留資格を決定されないまま在留しており、その実態は違法状態の継続にほかならない。たとえその継続が長期間であり、かつ平穏なものであったとしても、適法な在留資格を欠く以上、入管法上の保護を受ける根拠とはなり得ない。ゆえに、上告人らの主張は法的保護の要件を充足しないと判断される。
結論
不法入国者の長期在留は違法状態の継続にすぎず、直ちに法的保護の対象とはならないため、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、不法残留状態そのものからは法的利益が発生しないことを明示したものである。もっとも、実務上、在留特別許可(入管法50条1項)の判断においては、在留期間の長さや生活実態が「考慮事情」の一つとなり得るが、それはあくまで行政庁の裁量権行使における考慮要素に留まり、外国人側に権利としての在留を認めるものではないことを答案作成上留意すべきである。
事件番号: 昭和37(オ)853 / 裁判年月日: 昭和40年12月23日 / 結論: 棄却
外国政府の発給した旅券を所持して現に日本に居住する者が、日本国政府から再入国の許可を受け、再入国に際し入国審査官からその旅券に上陸許可の認印を受けたとしても、適法な入国手続を経ていない以上、右の事実だけによつて在留資格を取得するのではない。
事件番号: 昭和47(行ツ)65 / 裁判年月日: 昭和51年1月26日 / 結論: 棄却
いわゆる政治犯罪人不引渡の原則は、未だ確立した一般的な国際慣習法とは認められない。
事件番号: 平成17(行ヒ)395 / 裁判年月日: 平成18年10月5日 / 結論: 棄却
法務大臣が出入国管理及び難民認定法49条3項所定の裁決をするに当たり裁決書を作成しなかったことは出入国管理及び難民認定法施行規則(平成13年法務省令第76号による改正前のもの)43条に違反するものであるが,容疑者は退去強制事由があることを争っていないこと,同条は上記裁決をするに当たって経ることが予定されている在留特別許…
事件番号: 昭和34(オ)400 / 裁判年月日: 昭和35年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法務大臣による在留特別許可の付与は自由裁量に属し、在留期間経過後の外国人に対する退去強制手続が人道上極めて残虐で公序良俗に反するとは認められない限り、憲法にも違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、在留許可期間が経過した後も日本国内に在留していた外国人である。これに対し当局が退去強制令書を発付し…