ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律二条六項は出入国管理令二四条の適用を排除するものではない。
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律二条六項と出入国管理令二四条の適用
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律2条6項,出入国管理令24条
判旨
在留資格を有しない外国人が法務大臣の在留特別許可を受けた場合、その者は許可に付された在留期間等の条件の範囲内でのみ在留を許される。したがって、当該期間を経過したときは、出入国管理令(現:入管法)24条4号ロの退去強制事由に該当する。
問題の所在(論点)
在留特別許可を受けた外国人が、許可された在留期間を超えて本邦に残留した場合、出入国管理令24条4号ロ(現行入管法24条4号ロ:在留期間の経過による不法残留)の退去強制事由に該当するか。特に、法律上の特殊な地位にある者に対して退去強制規定が全面的に排除されるか。
規範
法務大臣による在留特別許可(出入国管理令50条)は、本来退去強制の対象となる者に対し、特例的に在留を認めるものである。そのため、当該許可を受けた者は、許可に付随して定められた在留期間その他の条件のもとでのみ、適法に本邦に在留しうるものと解される。また、特別の法的地位を定めた法律(ポツダム宣言受諾に伴う外務省関係諸命令の措置に関する法律2条6項)は、入管法上の特定の在留資格取得手続の適用を除外するにとどまり、退去強制規定(同法24条)の適用全般を排除するものではない。
重要事実
上告人は、いわゆる「ポツダム宣言受諾に伴う外務省関係諸命令の措置に関する法律」2条6項に該当する者であり、本来は出入国管理令上の在留資格を有していなかった。その後、法務大臣から同令50条に基づく在留特別許可を受け、旅券に代わる証明書および在留期間を明示した許可書を交付されたが、定められた在留期間を経過してもなお本邦に残留し続けた。
事件番号: 昭和53(行ツ)37 / 裁判年月日: 昭和54年10月23日 / 結論: 棄却
本邦に不法入国し、そのまま在留を継続する外国人は、出入国管理令九条三項の規定により決定された在留資格をもつて在留するものではないので、在留が長期間平穏に継続されたからといつて直ちに法的保護を受けうるものではない。
あてはめ
まず、関係法律(昭和27年法律126号)2条6項は、在留資格取得の特例を定めたにすぎず、退去強制事由の適用を免除する趣旨ではない。次に、上告人は法務大臣から在留特別許可を受けているが、この許可は無条件に在留を認めるものではなく、許可書に明示された「在留期間」という制約を伴うものである。上告人がこの明示された期間を経過して残留した事実は、法的な在留根拠を失ったことを意味し、同令24条4号ロの規定に直接抵触すると評価される。
結論
在留特別許可に付された在留期間を経過して残留する者は、出入国管理令24条4号ロの退去強制事由に該当する。したがって、上告人に対する退去強制事由の認定は正当である。
実務上の射程
在留特別許可の性質が「恩恵的・裁量的な行政処分」であることを前提に、その許可に付された条件(期間)の法的拘束力を認めるものである。答案上では、在留特別許可を受けた後の不法残留の成否が問われた際、同許可が「条件付きの在留権」を付与するにすぎないことを論証する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和50(行ツ)120 / 裁判年月日: 昭和53年10月4日 / 結論: 棄却
一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすること…
事件番号: 昭和43(あ)2516 / 裁判年月日: 昭和45年10月2日 / 結論: 棄却
出入国管理令四条一項六号の在留資格により本邦に在留する外国人が、在留期間中二度にわたつて同令二一条による在留期間の更新を申請し、いずれも在留期間経過後に更新許可の通知を受け、更に第三回目の更新を申請し、在留期間経過後に不許可の通知を受けたが、引き続き在留していたため、不法残留者の容疑で身柄を収容された場合には、右更新不…
事件番号: 昭和37(オ)853 / 裁判年月日: 昭和40年12月23日 / 結論: 棄却
外国政府の発給した旅券を所持して現に日本に居住する者が、日本国政府から再入国の許可を受け、再入国に際し入国審査官からその旅券に上陸許可の認印を受けたとしても、適法な入国手続を経ていない以上、右の事実だけによつて在留資格を取得するのではない。
事件番号: 平成6(行ツ)183 / 裁判年月日: 平成8年7月2日 / 結論: 棄却
出入国管理及び難民認定法別表第二所定の「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦における在留を継続していた外国人につき、法務大臣が、右外国人と日本人である配偶者とが長期間にわたり別居していたことなどから、右外国人の本邦における活動は、日本人の配偶者の身分を有する者としての活動に該当しないと判断し、右外国人の意に反して、…