出入国管理令四条一項六号の在留資格により本邦に在留する外国人が、在留期間中二度にわたつて同令二一条による在留期間の更新を申請し、いずれも在留期間経過後に更新許可の通知を受け、更に第三回目の更新を申請し、在留期間経過後に不許可の通知を受けたが、引き続き在留していたため、不法残留者の容疑で身柄を収容された場合には、右更新不許可の通知を受けた後身柄を収容されるまでの期間について同令七〇条五号の罪が成立する。
在留外国人が在留期間経過後に期間更新不許可の通知を受け引き続き在留した場合と出入国管理令七〇条五号の罪の成否
出入国管理令4条1項6号,出入国管理令21条,出入国管理令70条5号
判旨
在留期間更新申請を行い、期間経過後に不許可通知を受けた外国人が、引き続き本邦に在留した場合、不許可通知受領後から身柄収容までの期間について、出入国管理令上の不法残留罪が成立する。
問題の所在(論点)
在留期間の更新申請中に期間が経過し、その後に不許可通知を受けた場合において、通知受領後も在留を継続する行為について、出入国管理令70条5号(現行法70条1項5号参照)の不法残留罪が成立するか。
規範
在留期間の更新申請に対する不許可処分が確定した場合、在留期間を経過して本邦に在留する行為は、特段の事情がない限り、出入国管理及び難民認定法(旧出入国管理令)第70条所定の不法残留罪を構成する。
重要事実
被告人は在留資格に基づき本邦に在留していたが、在留期間中に二度にわたる更新申請を行い、いずれも期間経過後に許可通知を受けていた。しかし、第三回目の更新申請においては、在留期間経過後に不許可の通知を受けた。被告人は当該通知後も引き続き本邦に在留していたため、不法残留の容疑で身柄を収容され、起訴された。
事件番号: 平成16(あ)1595 / 裁判年月日: 平成17年4月21日 / 結論: 棄却
在留期間更新の申請をした後在留期間を経過した外国人が上記申請を不許可とする決定の通知が発出されたころ以降本邦に残留した行為については,同人において,上記申請に当たり虚偽の申出をしたほか,審査のため入国管理局が求めた出頭要請等にも誠実に対応していないという本件事実関係(判文参照)の下では,上記通知の到達の有無や上記申請が…
あてはめ
被告人は、過去二回の更新において期間経過後の許可を経験していたが、本件の第三回更新申請においては適法に不許可の通知を受けている。不許可通知を受領した時点で、被告人が本邦に在留するための正当な権原は消滅したといえる。したがって、当該通知を受けた後から現実に身柄を収容されるまでの期間、引き続き在留した行為は、在留期間を経過して不法に残留したものと評価される。
結論
被告人には不法残留罪が成立する。更新不許可通知を受けた後、身柄を収容されるまでの期間について罪責を認めた原判決の判断は相当である。
実務上の射程
在留期間経過後の申請に対する不許可と罪責の発生時期を明確にした。申請中の在留が「適法」とみなされる余地があったとしても、不許可通知が到達した後は不法残留の故意及び客観的構成要件を充足することを示す。実務上は、行政処分確定後の速やかな退去義務と刑事責任の発生を裏付ける判例として用いられる。
事件番号: 昭和28(あ)948 / 裁判年月日: 昭和31年5月4日 / 結論: 破棄自判
昭和二二年勅令第二〇七号外国人登録令施行当時、同令第四条第一項附則第二項に違反し同令第一二条第二号の罪を犯した者が、昭和二四年政令第三八一号改正令施行後まで所定の登録申請をしなかつた場合には、新法である右改正令第一三条第一号を適用し処断すべきである。 (裁判官池田克の補足意見) 右改正令の施行に当つての経過法を定めた附…
事件番号: 昭和30(あ)2684 / 裁判年月日: 昭和32年7月9日 / 結論: 棄却
出入国管理令第二五条は、不法に入国した外国人に対してもその適用があると解するのを相当とする。