昭和二二年勅令第二〇七号外国人登録令施行当時、同令第四条第一項附則第二項に違反し同令第一二条第二号の罪を犯した者が、昭和二四年政令第三八一号改正令施行後まで所定の登録申請をしなかつた場合には、新法である右改正令第一三条第一号を適用し処断すべきである。 (裁判官池田克の補足意見) 右改正令の施行に当つての経過法を定めた附則七項は形式的にみるとその施行前後を区別していないようではあるが、この立法形式を重視するの余り原判決のように施行後の犯罪についてもなお適用されると解することは相当でない、けだし、このことは登録不申請罪を継続犯と解する以上事理の当然といわなければならない、原判決は右附則七項は「何等罪責を加重せらるべき格別の所為に出でても居ないのに、単に罰則の改正によつて重く処罰」することは「酷に失する」ことが考慮されたためだとしているけれども、改正令施行後においても、なお登録申請義務をつくさない者に対する罰則を殊更に旧令の限度にとどめる理由は少しもなく、旧例施行当時本邦に在留した外国人と、旧例施行後本邦に入国した外国人が、共に登録申請義務に違反し、改正令施行後に及んだ場合に例をとつてみると、前者については軽い旧例の罰則が、後者には重い改正令の罰則が適用され、法定刑の権衡を失し極めて不合理である。
昭和二二年勅令第二〇七号外国人登録令施行当時、同令第四条第一項附則第二項に違反し同令第一二条第二号の罪を犯したものが、昭和二四年政令第三八一号改正令施行後まで所定の登録申請をしなかつた場合とその擬律
外国人登録令(昭和22年勅令207号)4条1項,外国人登録令(昭和22年勅令207号)12条2号,外国人登録令(昭和22年勅令207号)附則第2項,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正のもの)13条1号,外国人登録令(昭和24年政令381号による改正のもの)附則7項,裁判所法11条
判旨
犯罪行為が法改正前後で継続するいわゆる継続犯については、新旧法の比較は問題とならず、常に行為終了時の法律である新法が適用される。
問題の所在(論点)
法改正を跨いで継続する不作為犯(登録不申請罪)に対し、改正後の重い罰則を定める新法を適用することができるか。また、旧法の罰則を維持する経過措置(附則)の解釈が問題となる。
規範
犯罪が一定期間にわたり継続する「継続犯」において、その行為継続中に刑罰法規の変更があった場合には、法改正前の行為と改正後の行為とは相合して一個の犯罪を構成する。したがって、この場合には新旧法の対照(刑法6条等)の問題は生じず、原則として行為終了時の法律である新法を適用すべきである。
重要事実
被告人は、昭和22年勅令第207号「外国人登録令」施行当時、本邦に在留していた外国人であったが、同令に定める所定の登録申請を行わなかった。その後、申請をしないまま昭和24年政令第381号による改正令が施行され、罰則が強化された。原審は、改正令附則7項を根拠に、改正後も登録を怠っていた被告人に対し旧令の罰則を適用すべきとしたため、検察官が上告した。
あてはめ
外国人登録の不申請罪は、申請義務のある者が登録をしない状態を維持する限り成立し続ける継続犯である。被告人は改正令の施行前後を通じて登録申請を行っておらず、犯罪行為は改正後の新法下でも継続している。改正令附則7項(旧令の罪の処罰は従前の例による旨)は、改正前に既に登録を済ませた者等に関する規定であって、改正後もなお犯罪を継続している者にまで旧法の適用を限定する趣旨ではない。仮に旧法を適用すれば、改正後の加重された罰則が適用できず不当な結果を招く。
結論
被告人の行為には改正後の新法(昭和24年政令第381号)第13条1号を適用すべきである。したがって、旧法を適用した原判決を破棄し、新法に基づき被告人を罰金二千円に処する。
実務上の射程
継続犯における新法適用の原則を示すリーディングケースである。答案上は、時的適用範囲(刑法6条)の例外として、行為の終了が新法施行後であれば、それが一つの継続した行為である限り当然に新法が適用される旨を論証する際に活用する。
事件番号: 昭和27(あ)3956 / 裁判年月日: 昭和29年10月26日 / 結論: 棄却
昭和二〇年勅令第五四二号及びこれに基いて発せられた外国人登録令が日本憲法にかかわりなく同憲法施行後も同憲法外において法的効力を有し、しかも右勅令第五四二号が日本国との平和条約発効の日から廃止されたけれども、そのために同勅令が遡つて無効となるものでもなく、また同勅令に基いて発せられた命令が日本国との平和条約が発効したとい…