外国人登録令附則第二項所定の三〇日以内に登録申請をしなかつた罪の公訴時効は、その後当該外国人が本邦に在留するかぎり、その登録義務を履行した時から進行する。
外国人登録令に違反して登録申請をしない行為の公訴時効の起算点
外国人登録令(昭和22勅令207号)4条,外国人登録令(昭和22勅令207号)12条,外国人登録令(昭和22勅令207号)附則2,外国人登録令(昭和22勅令207号)附則3項,外国人登録令(昭和24勅令381号)附則7項,刑訴法250条,刑訴法253条1項
判旨
不作為犯である登録不申請罪における公訴時効の起算点は、法定の申請期間が経過した時ではなく、その後の申請義務の履践等により義務が消滅した時である。
問題の所在(論点)
外国人登録令所定の登録不申請罪のような不作為犯において、公訴時効の起算点(刑訴法253条1項)をいつと解すべきか。法定期間の経過時か、それとも義務消滅時か。
規範
不作為犯(継続犯的性質を有するもの)において、公訴時効は、単に法定の履行期間を経過した時から進行を始めるのではなく、その後の義務の履行(履践)等によって、当該義務が消滅した時を基準としてその起算点を算定すべきである。
重要事実
被告人は、外国人登録令に基づき、所定の期間内に登録申請を行う義務を負っていたが、これを怠った(登録不申請罪)。第一審および原審は、登録不申請罪の公訴時効について、同令附則に定める30日の申請期間が経過した時から進行するものと判断し、公訴時効の完成を理由に被告人に対し免訴を言い渡した。これに対し、検察官が時効の起算点に関する解釈の誤りを理由に上告した。
あてはめ
本件における登録申請義務は、法定の期間(30日)が経過したことによって直ちに消滅するものではなく、申請がなされるまで継続する性質のものである。したがって、公訴時効は、義務の履行が可能であった期間の経過時(不作為の開始時)から直ちに進行するのではなく、現に申請義務が履践されるなどして、その義務が消滅した時から初めて進行すると解するのが相当である。原審のように期間経過時を起算点とすることは、継続的な義務違反状態を看過することになり、不作為犯の処罰趣旨に反する。
結論
公訴時効は義務の履践等によって義務が消滅した時から進行する。したがって、時効完成を認めた免訴判決を破棄し、本件を第一審に差し戻す。
実務上の射程
本判決は、不作為犯の中でも「義務が継続するタイプ(継続犯的性質)」における時効の起算点を示したものである。答案上は、即成犯的に「期間経過=犯罪終了」と捉えるのではなく、義務の存続期間を検討し、その終了時を起算点とする論理構成として活用できる。特に届出義務等の行政刑罰の文脈で重要となる。
事件番号: 昭和27(あ)753 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 破棄差戻
一 原判決が、所論のごとく、要するに外国人登録令に定める登録不申請罪は、所定期間の三〇日を徒過することにより既遂となると同時に犯罪実行々為も終了しその時から公訴の時効は進行するものと判断して、結局被告人に対し免訴の言渡をしたこと、並びに、所論引用の原判決の言渡前になされた各高等裁判所の判決が、要するに所定期間経過後にお…
事件番号: 昭和28(あ)948 / 裁判年月日: 昭和31年5月4日 / 結論: 破棄自判
昭和二二年勅令第二〇七号外国人登録令施行当時、同令第四条第一項附則第二項に違反し同令第一二条第二号の罪を犯した者が、昭和二四年政令第三八一号改正令施行後まで所定の登録申請をしなかつた場合には、新法である右改正令第一三条第一号を適用し処断すべきである。 (裁判官池田克の補足意見) 右改正令の施行に当つての経過法を定めた附…