終戦後密入国した外国人が本邦に入つたときから六〇日を超えて在留した後、恰も自己が終戦前より本邦に在留しながら外国人登録申請を怠つていた旨虚偽の登録申請をしたときは、たとい本邦に入つた後六〇日を超えた後であつても虚偽の登録申請をした罪が成立する。
外国人登録法第三条第一項、第一八条第一項第二号の罪が成立する事例。
外国人登録法3条1項,外国人登録法18条1項1号,外国人登録法18条1項2号
判旨
外国人登録法3条1項に定める登録申請義務は、所定の期間経過後も継続するため、期間経過後の申請であっても虚偽の申請を行えば同法18条1項の罪が成立する。
問題の所在(論点)
外国人登録法3条1項の登録申請義務が期間経過後も継続するか。また、期間経過後になされた虚偽の登録申請について、同法18条1項の虚偽登録申請等の罪が成立するか。
規範
外国人登録法上の登録義務は、所定の申請期間が経過した後であっても消滅せず、引き続き義務の履行が求められる継続的な性質を有する。したがって、当該義務の履行としてなされる申請は、期間内か否かを問わず、適正な登録制度の運用を確保するため、誠実(真実)になされる必要がある。
重要事実
被告人は、外国人登録法3条1項が定める「本邦に入った日から60日以内」という申請期間を経過した後に外国人登録の申請を行った。その際、申請内容に虚偽の事実が含まれていたため、同法18条1項1号または2号(虚偽登録申請等)の罪に問われた。弁護側は、期間経過後は登録不履行の罪は成立し得ても、虚偽申請による処罰規定は適用されないと主張して争った。
あてはめ
外国人登録法3条1項に基づく登録義務は、期間の経過によって消滅するものではなく、義務の履行としての申請がなされるまで継続する。本件において、被告人が期間経過後に行った申請も、依然として同法上の登録義務の履行としてなされるものである以上、その申請内容は真実に基づかなければならない。したがって、期間経過後であることを理由に、虚偽の申請が許容されたり処罰を免れたりすることはないと解される。
結論
外国人登録の申請義務は期間経過後も継続するため、期間経過後になされた虚偽の申請についても、外国人登録法18条1項の罪が成立する。
実務上の射程
行政上の届出義務が「期間」の定めがある場合に、その期間経過後の不作為(不履行)だけでなく、遅滞してなされた作為(虚偽申請)の可罰性を肯定する際の根拠となる。義務の継続性を肯定することで、行政目的の達成を重視する判断枠組みとして、他の行政刑法分野にも射程が及び得る。
事件番号: 昭和53(あ)2047 / 裁判年月日: 昭和54年7月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人登録法(昭和54年当時)18条1項1号の罪は、故意犯に限らず、過失により登録原票の確認申請を怠った者も処罰の対象に包含する。 第1 事案の概要:被告人は、外国人登録法11条1項に基づき定められた期間内に、登録原票の記載事項が真実に合致しているかどうかの確認申請をすべき義務があったが、これを怠…