外国人登録法一八条一項一号、一一条一項の規定する犯罪構成要件は過失犯を含むとして憲法三一条違反の主張が欠前提とされた事例
憲法31条
判旨
外国人登録法(昭和54年当時)18条1項1号の罪は、故意犯に限らず、過失により登録原票の確認申請を怠った者も処罰の対象に包含する。
問題の所在(論点)
外国人登録法18条1項1号により処罰される「同法11条1項の規定に違反し登録原票の確認の申請をしない者」には、過失により当該申請をしなかった者が含まれるか。
規範
刑罰法規において、特に過失犯を処罰する旨の明文規定がない場合であっても、法の規定の趣旨・目的、及び行政上の取締りの実効性を確保する必要性に照らし、過失により義務を怠った者を包含する法意であると解することが可能である。
重要事実
被告人は、外国人登録法11条1項に基づき定められた期間内に、登録原票の記載事項が真実に合致しているかどうかの確認申請をすべき義務があったが、これを怠った。被告人は、同法18条1項1号違反(義務不履行)で起訴されたが、故意がないこと、及び過失犯を処罰する規定がないことを理由に憲法31条違反等を主張して争った。
あてはめ
行政上の取締法規である外国人登録法の目的は、在留外国人の公正な管理にある。登録原票の確認申請義務は、その正確性を維持するための基幹的な義務であり、その実効性を担保するためには、単なる故意による不作為のみならず、不注意による過失の不作為も処罰の対象とすべき強い要請がある。したがって、同法18条1項1号は過失により申請をしなかった者を包含する法意であると解される。
結論
被告人が過失により申請を怠った場合であっても、同法18条1項1号の罪が成立する。したがって、原審の判断は正当であり、憲法31条には違反しない。
実務上の射程
行政刑罰において、明文の過失規定がない場合に過失犯を処罰できるかという論点で引用される。現在では刑法38条1項の原則(故意犯処罰の原則)が重視されるため、本判決のような解釈は、行政上の義務違反かつ軽微な処罰規定という限定的な文脈で理解すべきである。
事件番号: 昭和53(あ)1587 / 裁判年月日: 昭和54年1月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人登録法3条1項の新規登録申請義務は不法入国した外国人にも適用され、この義務の課受は自己に不利益な供述を強いるものではなく、憲法38条1項に違反しない。 第1 事案の概要:不法に日本に入国した外国人が、外国人登録法3条1項に基づく新規登録の申請を行わなかった。これに対し、同法違反の罪が問われた…