出入国管理令第二五条は、不法に入国した外国人に対してもその適用があると解するのを相当とする。
出入国管理令第二五条は不法に入国した外国人に対しても適用があるか
出入国管理令25条1項,出入国管理令25条2項
判旨
不法に入国した外国人であっても、出入国管理令(現在の出入国管理及び難民認定法)の定める出国手続に関する規定の適用を受ける。適法・不法を問わず、すべての外国人に出国確認義務を課すことが法的に正当であると判断された。
問題の所在(論点)
不法に本邦に入国した外国人に対して、出入国管理令25条(出国手続)の規定が適用されるか。すなわち、不法入国者も正規の出国確認手続を経る義務を負うかが問題となった。
規範
出入国管理令(現:入管法)25条の出国手続規定は、適法に本邦に在留し若しくは入国した外国人であるか、不法に本邦に入国した外国人であるかを問わず、すべての外国人に適用される。
重要事実
被告人は不法に本邦に入国した外国人であった。その後、出国しようとした際に、出入国管理令(当時)25条に基づく正規の出国手続を回避した、あるいは同条の適用を受けないとの前提で行動した。弁護人は、不法入国者に対しては同条の適用がないため、出国手続違反を問うことは憲法31条や法令の解釈として誤りであると主張して上告した。
事件番号: 昭和44(あ)1232 / 裁判年月日: 昭和45年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出入国管理令(現:入管法)25条が定める出国手続の規定は、憲法22条2項に違反するものではない。日本国民に保障される「外国に移住する自由」も、公共の福祉による合理的制限に服するものである。 第1 事案の概要:被告人が、出入国管理令25条に規定された有効な旅券を所持せず、かつ入国審査官の出国確認を受…
あてはめ
最高裁は、同条の文言および制度の趣旨に鑑み、入国プロセスの適法性を区別する明文の限定がないことを重視した。不法入国者であっても現に国内に滞在する外国人である以上、国家による出入国管理の円滑な実施と秩序維持の観点からは、一律に出国手続の網をかける必要がある。したがって、被告人が主張する「適法な在留者に限定される」との解釈は採り得ず、不法入国者に対しても同条が全面的に適用されると解するのが相当である。
結論
不法入国者であっても出入国管理令25条の適用を受ける。したがって、所定の手続を経ずに出国しようとする行為は同条違反を構成する。
実務上の射程
本判決は、入管法の適用範囲が不法滞在者・不法入国者にも及ぶことを明確にした基本的な裁判例である。答案上は、外国人の基本権や法的義務の帰属を論ずる際、不法滞在という事実が当然に入管上の手続義務を免除させる理由にはならないことを示す論拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)795 / 裁判年月日: 昭和32年2月12日 / 結論: 破棄差戻
不法入国者には外国人登録令に基く登録申請義務がない旨の判断は、不法入国の罪と外国人登録証明書不所持の罪が併合罪となるという判断にあたり「不法入国者にも登録申請義務がある」と判示した高裁判例と相反する判断をしたものである。