商標法三条一項三号に掲げる商標は、これを商品に使用した場合その産地、販売地その他の特性につき誤認を生じさせるおそれのあるものである必要はない。
商標法三条一項三号に掲げる商標と商品の特性につき誤認を生じさせるおそれのある商標
商標法3条1項3号,商標法4条1項16号
判旨
商標法3条1項3号の産地・販売地表示商標に該当するか否かは、公益上の独占適応性及び自他商品識別力の有無により判断すべきであり、産地等の誤認を生じさせるおそれがある場合に限定されない。
問題の所在(論点)
商標法3条1項3号に該当する商標の範囲を判断するにあたり、当該商標が「商品の産地、販売地につき誤認を生じさせるおそれ」があるものに限定されるか。
規範
商標法3条1項3号の趣旨は、商品の特性を表示する標章は、取引上必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるため、特定人による独占を認めるのが公益上不適当であるとともに、一般に自他商品識別力を欠く点にある。したがって、同号にいう「商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」とは、商品の産地等として広く知られたものを表示する標章を指し、これを使用した際に産地等の誤認を生じさせるおそれがあるものに限定されるものではない(誤認のおそれの有無は同法4条1項16号の問題である)。
重要事実
本件商標の指定商品である香水等の化粧品について、当該商標がその産地または販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるか、およびこれを使用した場合に商品の産地または販売地について誤認を生じさせるおそれがあるかが争われた。原審は、本件商標が3条1項3号および4条1項16号のいずれにも該当すると判断したため、上告人は3条1項3号の解釈について、誤認を生じさせるおそれがある場合に限定されるべきであると主張して争った。
あてはめ
本件商標は、その指定商品との関係において、商品の産地または販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる。3条1項3号は、独占の不適当性と識別力の欠如を根拠とする規定であり、商品の誤認を生じさせるかどうかという考慮要素は4条1項16号が担うべき事由である。したがって、産地表示としての周知性や普通に用いられる方法による表示であれば足り、上告人が主張するような「誤認のおそれ」という限定を付加する理由はない。また、本件商標を指定商品に使用した場合には産地等の誤認を生じさせるおそれも認められる。
結論
本件商標は、商標法3条1項3号および4条1項16号に掲げる商標に該当するため、登録は認められない。上告棄却。
実務上の射程
3条1項各号(記述的商標)の不登録事由が、公益的要請(自由使用の確保)と私益的要請(識別力の欠如)に基づくことを明確にした基本判例である。答案上は、3条1項3号の検討において「誤認のおそれ」という主観的・実態的要素を混ぜることなく、客観的に産地・販売地等の記述に該当するか否かを論じる際の根拠として用いる。
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事件番号: 昭和39(行ツ)54 / 裁判年月日: 昭和43年11月15日 / 結論: 破棄自判
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