借地法八条の二は、憲法一四条、二九条に違反しない。
借地法八条の二と憲法一四条、二九条
借地法8条ノ2,憲法14条,憲法29条
判旨
借地法8条の2(現在の借地借家法17条から19条等に相当)の規定は、憲法14条および憲法29条に違反しない。
問題の所在(論点)
借地上の建物の増改築等の許可に関する裁判所の介入を認める借地法8条の2の規定が、憲法29条(財産権)および憲法14条(法の下の平等)に違反するか。
規範
法規制が財産権(憲法29条)を制限する場合、その制限が公共の福祉に適合するか否かは、規制の目的、必要性、内容、および制限の程度を総合的に考慮して判断されるべきである。また、法の下の平等(憲法14条)の観点からは、事物の性質に基づいた合理的な根拠がある限り、区別扱いは許容される。
重要事実
抗告人は、土地の賃貸借関係において裁判所が借地条件の変更等を命ずる借地法8条の2(当時)の規定が、地主の財産権を侵害し(憲法29条)、また借地人との間で不当な差別を生じさせる(憲法14条)として、同条の違憲性を主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
事件番号: 昭和48(ク)105 / 裁判年月日: 昭和49年9月26日 / 結論: 棄却
借地法八条ノ二第二項の借地条件変更に関する裁判は、憲法三二条、八二条に違反しない。
最高裁は、過去の判例(昭和35年2月10日大法廷判決等)を引用し、借地法が社会的な経済的地位の格差を考慮して借地権を保護する趣旨は、公共の福祉に基づく合理的な制限の範囲内であるとした。また、地主と借地人の利害を裁判所が調整する仕組みは、財産権の本質を侵すものではなく、合理的根拠を欠く差別にも当たらないと判断した。なお、法律全体の違憲性を一般的に主張することは、当該法規が具体的事件に適用されない限り、適法な抗告理由とならない。
結論
借地法8条の2の規定は、憲法14条および憲法29条に違反せず、合憲である。
実務上の射程
民法上の契約自由の原則に対する修正として、借地借家法による公的介入が合憲であることを確認する際の基礎となる判例である。財産権の社会的制約を論ずる際の「公共の福祉による合理的制限」の代表的事例として、答案上のあてはめにおいて参照すべきである。
事件番号: 昭和56(ク)69 / 裁判年月日: 昭和56年3月26日 / 結論: 棄却
借地法九条の二第一項の規定は憲法二九条に違反せず、また、借地法九条の二第一項、一四条の二、一四条の三の各規定は、憲法三二条、八二条に違反しない。
事件番号: 昭和29(ク)44 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当性に限定される。実質的に憲法違反を主張せず、単にその旨を称するにすぎない抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。その際、…
事件番号: 昭和29(ク)53 / 裁判年月日: 昭和29年5月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、仮処分により保全すべき権利について疎明がないとした原決定を不服として、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。その際…
事件番号: 昭和50(ク)36 / 裁判年月日: 昭和50年7月11日 / 結論: 棄却
借地法八条ノ二は、憲法二九条に違反しない。