民訴法三九条の規定と右規定により除斥又は忌避申立事件を審判するものとされた裁判機関が憲法一四条の規定に違反して不平等な判断をするかどうかとは関係がなく、民訴法三九条が憲法一四条に違反する旨の違憲の主張は、その前提を欠き、不適法である。
民訴法三九条が憲法一四条に違反する旨の特別抗告理由の適否
民訴法39条,憲法14条
判旨
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事訴訟法上特に許容された特別抗告(現行民訴法336条)等に限られ、実質的に単なる法令違反や不当を主張するものは、形式的に違憲を主張していても不適法として却下される。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)が適法と認められるための要件、および単なる法令違反の主張を違憲主張に擬制して申し立てた抗告の適否。
規範
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることを許した場合に限られる。民事事件においては、憲法の解釈の誤りその他憲法の違反があることを理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条1項)のみがこれに該当する。また、違憲の主張がなされていても、その実質が原決定の違法・不当を主張するにすぎない場合は、同法所定の抗告理由には当たらない。
重要事実
抗告人は、裁判官の忌避申立てを排斥した原決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。その際、抗告人は「忌避についての裁判機関を定める民訴法39条が、平等原則を定めた憲法14条に違反する」旨を主張した。しかし、その主張の実質は、個別の忌避申立てを排斥した原決定の当否を争うものであった。
事件番号: 昭和33(ク)164 / 裁判年月日: 昭和33年7月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、旧民事訴訟法419条の2(現行336条)に規定する特別抗告の要件を満たさないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、憲法違反を主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由…
あてはめ
抗告人の主張は、形式的には憲法14条違反を掲げているが、その実質は単なる原決定の違法・不当の主張にすぎない。除斥・忌避の裁判機関を定める民訴法39条の規定自体と、当該機関が不平等な判断をするか否かには論理的関連性がなく、違憲主張としての前提を欠いている。したがって、本件抗告は旧民訴法419条の2(現行336条)が定める「憲法の解釈の誤り」等の正当な抗告理由を備えていないといえる。
結論
本件抗告は、民事訴訟法所定の特別抗告の要件を満たさないため、不適法として却下される。
実務上の射程
最高裁への特別抗告において、形式的な違憲主張があっても、実質が単なる事実誤認や法令違反の主張であれば、門前払い(却下)されることを示した。答案上は、不服申立ての適法性を論ずる際、上告理由や抗告理由の「実質」を検討する根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和31(ク)112 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許された場合に限られ、民事事件では民事訴訟法旧419条の2(現行336条)所定の抗告に限られる。抗告理由に「違憲」の文言があっても、その実質が事実認定の不当を争うものである場合は、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は…
事件番号: 昭和31(ク)233 / 裁判年月日: 昭和31年9月14日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)の特別抗告に限定される。憲法違反を主張しても、その実質が単なる事実誤認の主張にすぎない場合は、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判官の…
事件番号: 昭和31(ク)111 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に規定する特別抗告の場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判官の忌避の原因につき疎明がないとした原審の判断を不服として、最高裁判所に抗告を申し立て…
事件番号: 昭和52(ク)249 / 裁判年月日: 昭和52年12月1日 / 結論: 却下
民訴法三九条は除斥又は忌避についての裁判機関を定めたものであるから、裁判官が憲法七六条三項所定の良心に従つた裁判をすることとはなんら関係がない。