控訴に関する一切の訴訟行為の委任を受けた代理人は、その相手方の提起した控訴について特別の委任を受けなくても、当然被控訴代理人として訴訟行為をする権限を有する。
控訴の授権を受けた訴訟代理人の権限
民訴法81条
判旨
控訴に関する一切の訴訟行為の委任を受けた代理人は、相手方が提起した控訴についても、特別の委任を要せず当然に被控訴代理人として訴訟行為をする権限を有する。
問題の所在(論点)
「控訴に関する一切の訴訟行為」の委任を受けた代理人が、相手方の提起した控訴について、特別の委任を受けることなく被控訴代理人として訴訟行為を行う権限を有するか(民事訴訟法55条の代理権の範囲)。
規範
訴訟代理人が本人から「控訴に関する一切の訴訟行為」をする権限を授与されている場合、その代理権の範囲には、本人が提起する控訴のみならず、相手方が提起した控訴において被控訴人の代理人として訴訟行為を行う権限も含まれる。したがって、相手方の控訴に対する応訴行為について別途特別の受任を要しない。
重要事実
上告代理人(弁護士)は、上告人から「控訴に関する一切の訴訟行為」をする権限を授与されていた。その後、相手方(被上告人)から控訴が提起された際、当該代理人が被控訴代理人として訴訟行為を行ったが、これが特別の委任を欠く無権代理ではないかが争点となった。
あてはめ
本件において、上告代理人は上告人から「控訴に関する一切の訴訟行為」をするための包括的な権限を授与されている。この「控訴に関する」との文言は、控訴審における紛争解決の一切を託す趣旨と解される。したがって、自ら控訴を提起する場合に限らず、相手方が控訴を提起した場合の応訴行為も当然にその権限の範囲内に含まれると評価される。
結論
被上告人から提起された控訴事件について、上告代理人が上告人を代理する権限を有するものとした原審の措置は正当である。
実務上の射程
訴訟委任状の記載事項(控訴に関する一切の行為)の解釈に関する判例である。答案上は、代理権の範囲が争われる場面において、委任の趣旨を合理的に解釈し、訴訟の完結に必要な応訴行為も含まれることを根拠づける際に活用できる。
事件番号: 昭和56(オ)1277 / 裁判年月日: 昭和57年5月27日 / 結論: 棄却
相手方の住所を知りながら公示送達の申立をし、相手方の欠席のまま勝訴の確定判決を得たとしても、民訴法四二〇条一項三号の再審事由にあたらない。