土地区画整理法二〇条三項所定の利害関係者の意見書に係る意見を採択すべきでない旨の都道府県知事の通知は、取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」にあたらない。
土地区画整理法二〇条三項所定の利害関係者の意見書に係る意見を採択すべきでない旨の都道府県知事の通知と取消訴訟の対象
土地区画整理法20条3項,行政事件訴訟法3条2項
判旨
土地区画整理法20条に基づく利害関係者の意見書提出は監督権の発動を促す趣旨にすぎず、意見を採択しない旨の通知は不服申立てに対する裁決や、国民の法的地位に直接影響を及ぼす処分には当たらない。
問題の所在(論点)
土地区画整理法20条2項に基づく利害関係者の意見書に対し、都道府県知事等が行う「意見を採択しない旨の通知」が、行政事件訴訟法3条2項の「処分」または同条3項の「裁決」に該当するか。
規範
行政事件訴訟法3条2項にいう「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を指すが、これが認められるためには、当該行為が直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められていることを要する。また、同条3項の「裁決」とは、審査請求等に対する判断を指すが、申出が単に当局の監督権発動を促す趣旨に留まる場合はこれに当たらない。
重要事実
土地区画整理組合を設立しようとする者が定めた事業計画に対し、利害関係者である上告人が土地区画整理法20条2項に基づき意見書を提出した。これに対し、指定都市の長は当該意見を採択すべきでない旨の通知を行った。上告人は、この通知が行政庁の処分または裁決に当たるとして、その取消しを求めて提訴した。
事件番号: 昭和61(行ツ)173 / 裁判年月日: 昭和62年9月22日 / 結論: 棄却
都市計画法一一条一項一号の道路に関する都市計画の変更決定は、抗告訴訟の対象とならない。
あてはめ
まず、法20条2項に基づく意見書の提出は、事業計画について利害関係者に意見を申し出る機会を与え、知事等の監督権発動を促す趣旨にすぎない。したがって、不服申立てに対する判断ではないため「裁決」には当たらない。次に、当該通知は、知事等が意見を採択しないという判断を示したものにすぎず、それ自体によって利害関係者の法的地位に直接何らかの影響を及ぼすものではない。すなわち、国民の権利義務を直接形成・確定する効果を伴わないため、「処分」にも当たらない。
結論
本件通知は、行政庁の裁決および処分のいずれにも当たらないため、取消訴訟の対象とすることはできない。
実務上の射程
行政庁に対する「要望」や「監督権発動の申出」の性質を持つ手続に対する回答の処分性を否定する際の重要判例である。答案では、個別法(土地区画整理法)の仕組みから、当該手続が権利救済的な不服申立てか、単なる監督権発動の契機にすぎないかを区別する際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和50(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和50年8月6日 / 結論: 棄却
都市計画法に基づき土地区画整理事業に関して都道府県知事のした都市計画決定は、抗告訴訟の対象とならない。
事件番号: 昭和46(行ツ)63 / 裁判年月日: 昭和50年11月28日 / 結論: 棄却
住宅地区改良事業の事業計画の認可は、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分にあたらない。
事件番号: 平成17(行ヒ)397 / 裁判年月日: 平成20年9月10日 / 結論: 破棄自判
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。 (補足意見及び意見がある。)
事件番号: 平成22(行ヒ)124 / 裁判年月日: 平成23年6月14日 / 結論: 破棄自判
市営の老人福祉施設の民間事業者への移管に当たり,その相手方となる事業者の選考のための公募に提案書を提出して応募した者が,市長から,その者を相手方として上記移管の手続を進めることは好ましくないと判断したので提案について決定に至らなかった旨の通知を受けた場合において,上記移管は市と相手方となる事業者との間で契約を締結するこ…