実用新案登録を受ける権利の共有者の、一員が訴を提起してその共有にかかる権利に関する審決の取消を求めることは、右共有にかかる権利についての民法二五二条但書にいう保存行為に該当しない。
実用新案登録を受ける権利の共有者の一員が訴を提起してその共有にかかる権利に関する審決の取消を求めることと保存行為
民法252条但書,実用新案法9条1項,実用新案法35条,特許法37条
判旨
実用新案登録を受ける権利の共有者が、拒絶審決の取消しを求める訴えを提起することは保存行為にあたらず、共有者全員が原告とならなければならない固有必要的共同訴訟である。
問題の所在(論点)
実用新案登録を受ける権利の共有者が提起する拒絶審決取消訴訟について、共有者の一人による単独提起が認められるか。同訴訟が保存行為に該当するか、あるいは固有必要的共同訴訟として全員での提起を要するかが問題となる。
規範
権利の共有に係る拒絶審決の取消訴訟は、共有者の全員について合一にのみ確定すべきものであり、かつ、民法252条ただし書(現252条4項)にいう保存行為には当たらない。したがって、当該訴訟は共有者全員で提起することを要する必要的共同訴訟(固有必要的共同訴訟)となる。
重要事実
実用新案登録を受ける権利を共有する者らが、共同して拒絶査定不服審判を請求したが、請求を認めない(拒絶すべき)旨の審決を受けた。この審決に対し、共有者の一人である上告人が単独で審決取消訴訟を提起した。
事件番号: 昭和52(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和55年1月18日
【結論(判旨の要点)】実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で請求した拒絶査定不服審判の不成立審決に対し、その取消しを求める訴えは、保存行為に当たらず、共有者全員が原告とならなければならない必要的共同訴訟である。 第1 事案の概要:実用新案登録を受ける権利の共有者らが、共同して拒絶査定不服の審判を請求したが、請求を認…
あてはめ
拒絶審決取消訴訟において、審決を取り消すべきか否かは、登録を受ける権利の存否に直結するため、共有者間で個別に判断することはなじまず、合一に確定すべき性質を有する。また、このような訴えの提起は、現状の維持を目的とする保存行為には該当しない。本件では共有者の一人が単独で出訴しており、訴訟要件を満たさない不適法な訴えといえる。
結論
実用新案登録を受ける権利の共有者の一員が単独で提起した審決取消の訴えは、必要的共同訴訟の要件を欠くため、却下されるべきである。
実務上の射程
特許法等に準用される実用新案法上の拒絶審決取消訴訟だけでなく、特許を受ける権利の共有時における拒絶査定不服審判の取消訴訟にも同様の理が妥当する。固有必要的共同訴訟の典型例として、当事者適格の有無を検討する際の規範となる。
事件番号: 平成6(行ツ)83 / 裁判年月日: 平成7年3月7日 / 結論: 破棄自判
実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で拒絶査定に対する審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟である。
事件番号: 昭和35(オ)684 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
実用新案登録の共同出願人の一人が登録出願拒絶査定に対する抗告審決の取消請求訴訟を提起した後において、他の者の登録を受ける権利の持分全部を譲り受けて単独の権利人となつた場合においても、出訴期間内にその旨の名義変更の届出をしなければ、右訴は、不適法であつて却下を免かれない。
事件番号: 昭和28(オ)512 / 裁判年月日: 昭和30年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実用新案法(旧法)に基づく登録対象となるためには、考案が同法1条にいう「新規ノ型ノ工業的考案」に該当することを要し、新規性を欠く考案については登録を受けることができない。 第1 事案の概要:上告人は、自らの考案について実用新案法に基づく登録を求めた。しかし、原審において、当該考案は同法1条に規定さ…