判旨
実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で請求した拒絶査定不服審判の不成立審決に対し、その取消しを求める訴えは、保存行為に当たらず、共有者全員が原告とならなければならない必要的共同訴訟である。
問題の所在(論点)
実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で請求した拒絶審判に対する不成立審決の取消訴訟を提起する場合、共有者の一人が単独でこれを行うことができるか。当該訴訟が民法252条但書の「保存行為」に当たるか、あるいは必要的共同訴訟か。
規範
特許等を受ける権利の共有に係る拒絶査定不服審判の審決取消訴訟は、民法252条但書の保存行為には当たらない。当該審決の取消しの成否は、共有者全員について合一にのみ確定すべきものであるから、共有者全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟と解すべきである。
重要事実
実用新案登録を受ける権利の共有者らが、共同して拒絶査定不服の審判を請求したが、請求を認めない(成り立たない)旨の審決を受けた。この審決に対し、共有者の一員である上告人が単独で審決取消しの訴えを提起した。
あてはめ
審決取消訴訟は、共有に係る権利自体の存否や内容を確定させる手続であり、その結果は共有者全員に一律に及ぶ必要がある。これは単なる現状維持を目的とする「保存行為」の範囲を超えるものである。したがって、共有者の一部のみによる提起を認めると、他の共有者の権利関係と抵触するおそれがあり、全員につき合一にのみ確定すべき性質を有するといえる。
結論
本件訴訟は固有必要的共同訴訟であり、共有者の一人にすぎない上告人が単独で提起した本件訴えは、原告適格を欠く不適法なものとして却下されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和52(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和55年1月18日 / 結論: 棄却
実用新案登録を受ける権利の共有者の、一員が訴を提起してその共有にかかる権利に関する審決の取消を求めることは、右共有にかかる権利についての民法二五二条但書にいう保存行為に該当しない。
特許法、実用新案法等の知的財産権法全般における「受ける権利」の共有関係に射程が及ぶ。審査・審判段階での共同出願原則(特許法38条等)と整合的に、訴訟段階でも合一確定の必要性を重視する実務指針となる。
事件番号: 平成6(行ツ)83 / 裁判年月日: 平成7年3月7日 / 結論: 破棄自判
実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で拒絶査定に対する審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟である。
事件番号: 昭和35(オ)684 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
実用新案登録の共同出願人の一人が登録出願拒絶査定に対する抗告審決の取消請求訴訟を提起した後において、他の者の登録を受ける権利の持分全部を譲り受けて単独の権利人となつた場合においても、出訴期間内にその旨の名義変更の届出をしなければ、右訴は、不適法であつて却下を免かれない。