実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で拒絶査定に対する審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟である。
実用新案登録を受ける権利の共有者が提起する審決取消訴訟と固有必要的共同訴訟
民訴法62条,実用新案法(平成5年法律第26号による改正前のもの)41条,実用新案法(平成5年法律第26号による改正前のもの)47条,特許法132条3項
判旨
実用新案登録を受ける権利の共有者が、拒絶査定不服審判の棄却審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟は、共有者全員で提起すべき固有必要的共同訴訟である。一個の権利の成否は共有者全員につき合一に確定する必要があるため、単独での提訴は不適法となる。
問題の所在(論点)
実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で請求した拒絶査定不服審判の棄却審決に対し、単独で審決取消訴訟を提起することができるか。当該訴訟が固有必要的共同訴訟(民事訴訟法40条1項)にあたるか否かが問題となる。
規範
実用新案登録を受ける権利の共有者が提起する拒絶査定不服審判の審決取消訴訟は、固有必要的共同訴訟にあたる。その判断枠組みは、当該訴訟における審決の違法性の有無が共有者全員の有する一個の権利の成否を決めるものであり、審決の取消しの可否を共有者全員につき合一に確定すべき必要性(合一確定の要請)があるか否かによる。
重要事実
被上告人は、実用新案登録を受ける権利を有限会社L研究所と共有し、共同で出願したが拒絶査定を受けた。両者は共同で拒絶査定不服審判を請求したが、請求は成り立たない旨の審決がなされた。これに対し、被上告人はL研究所と共同することなく、単独で本件審決取消訴訟を提起した。
事件番号: 昭和52(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和55年1月18日 / 結論: 棄却
実用新案登録を受ける権利の共有者の、一員が訴を提起してその共有にかかる権利に関する審決の取消を求めることは、右共有にかかる権利についての民法二五二条但書にいう保存行為に該当しない。
あてはめ
本件訴訟の対象は、共有者全員に帰属する「一個の権利」である実用新案登録を受ける権利の成否である。実用新案法41条(特許法132条3項準用)が審判請求について共有者全員による共同請求を義務付けている趣旨に鑑みれば、その審決の取消訴訟もまた合一確定の要請が強く、共有者全員が原告となる必要があるといえる。したがって、被上告人が単独で行った提訴は、当事者適格を欠くものと解される。
結論
本件訴えは不適法であり、却下を免れない。共有者の一部のみによる提訴は認められず、全員で提起することを要する。
実務上の射程
行政訴訟における必要的共同訴訟の典型例として、答案上は「合一確定の必要性」をキーワードに論証する。特許法・実用新案法等の知的財産権に関する権利の帰属が問題となる場面だけでなく、民事訴訟法上の固有必要的共同訴訟の判定基準(管理処分権の共同性、紛争解決の実効性)を補強する判例として引用可能である。
事件番号: 昭和35(オ)684 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
実用新案登録の共同出願人の一人が登録出願拒絶査定に対する抗告審決の取消請求訴訟を提起した後において、他の者の登録を受ける権利の持分全部を譲り受けて単独の権利人となつた場合においても、出訴期間内にその旨の名義変更の届出をしなければ、右訴は、不適法であつて却下を免かれない。
事件番号: 昭和52(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和55年1月18日
【結論(判旨の要点)】実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で請求した拒絶査定不服審判の不成立審決に対し、その取消しを求める訴えは、保存行為に当たらず、共有者全員が原告とならなければならない必要的共同訴訟である。 第1 事案の概要:実用新案登録を受ける権利の共有者らが、共同して拒絶査定不服の審判を請求したが、請求を認…