土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求の前訴において、建物所有を目的とする借地契約の成立及び地上建物につき借地期間の満了を停止条件とする売買契約の成立が認められ、建物引渡し及び土地明渡しの限度で右請求を認容する判決が言い渡されて確定した後、土地所有者が、前訴判決の事実審口頭弁論終結後に売主の債務不履行を理由に右売買契約を解除したことにより建物の所有権が売主に復帰したものとして、新たに建物収去土地明渡しを求める後訴を提起することは、特段の事情のない限り、訴の利益がある。
土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求の再訴につき訴の利益があるとされた事例
民訴法第2編第1章訴
判旨
建物引渡を命じた前訴判決後、売買契約が解除され建物収去義務が生じた場合、新たな法的必要性が生じているため訴の利益が認められる。また、売主の担保設定等の背信的行為があっても、特段の事情がない限り即時無催告解除は認められず、催告等の手続きを要する。
問題の所在(論点)
1. 前訴で土地明渡判決を得ている場合に、その後に生じた事由に基づき建物収去土地明渡を求める後訴の「訴の利益」が認められるか。2. 売主による背信的な担保設定行為がある場合、催告なしに即時解除できるか。
規範
1. 前訴の事実審口頭弁論終結後に発生した新たな事由(契約解除による所有権復帰等)に基づき、前訴判決では達成不可能な給付(建物収去等)を求める場合、訴の利益が認められる。2. 抵当権のない建物の売買後、売主が第三者に根抵当権を設定する等の背信的行為があっても、特段の事情がない限り、買主に即時無催告の解除権(民法541条但書・542条関連)が当然に認められるわけではない。
重要事実
上告人は、建物所有者(被上告人)に対し、前訴で建物引渡・土地明渡の確定判決を得た。前訴判決は「期間満了により建物売買契約が成立し、所有権が上告人に移転した」ことを前提に建物引渡を命じた。しかし、被上告人は判決の前提となった売買効力発生後に、建物に根抵当権等の登記を設定した。上告人は、負担のない状態での移転を催告した上で解除の意思表示をし、改めて建物収去土地明渡を求めて本訴を提起した。
あてはめ
1. 上告人は前訴判決後に売買契約を解除し、建物所有権が相手方に復帰したと主張している。建物収去を求めるには新たな判決が必要であり、前訴判決のみでは目的を達成できないため、訴の利益がある。2. 原審は、売主の行為を著しい背信行為として無催告解除を認めたが、特段の事情がない限り、単なる債務不履行として法定の催告手続きを要するのが原則である。原審は具体的な不履行の態様や無催告解除を正当化する特段の事情を十分に審理していない。
結論
1. 訴の利益を否定した原審の判断は民事訴訟法の解釈を誤る。2. 即時無催告解除を当然に認めた判断は民法の解釈を誤り、審理不尽・理由不備があるため、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
既判力の時的限界(事後事由)と訴の利益の関係を示す重要判例。また、民法上の解除権行使において、債務者の背信性が高い場合であっても、無催告解除を認めるには「特段の事情」という高いハードルが必要であることを示している。
事件番号: 昭和42(オ)890 / 裁判年月日: 昭和43年9月12日 / 結論: 破棄差戻
通常の共同訴訟においては、共同訴訟人間に共通の利害関係があるときでも、補助参加の申出をしないかぎり、当然には補助参加をしたと同一の効果を生ずるものではない。
事件番号: 昭和39(オ)24 / 裁判年月日: 昭和40年2月12日 / 結論: 棄却
土地賃貸人において、転借人に対し後日直接賃貸借契約をしてよい意向を示し、それまでの間は転借について暗黙の承諾をしたと見られるような態度をとり、転借人としては、賃貸人の指図に従い、同人の転貸人に対する賃貸借消滅による建物収去土地明渡請求訴訟に協力する態度をとり、賃貸人が勝訴すれば自ら賃借できると考え、同人から明渡を請求さ…
事件番号: 昭和48(オ)859 / 裁判年月日: 昭和49年9月20日 / 結論: 棄却
借地法四条一項但書の正当事由の有無の判断基準時を賃貸借期間終了の時とし、その後の事情を右判断基準時の事実関係を認定するための資料とした原審の認定判断は正当である。
事件番号: 昭和51(オ)478 / 裁判年月日: 昭和52年3月31日 / 結論: 破棄差戻
建物所有を目的とする土地賃貸借の賃借人が、賃借地上の建物に登記をしていないため、賃借地を買い受けた者に対し、形式的には、その賃借権をもつて対抗することができない場合であつても、右登記をしていなかつたことに宥恕されるべき事情があり、また、土地の買受人が、賃借権に対抗力のないことを奇貨として、賃借人に対し土地の明渡しを求め…