訴訟手続の中断中に、中断の事実を看過して口頭弁論期日を開き、弁論を終結し、判決を言い渡した原審の訴訟手続には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背があり、その判決は破棄を免れない。
中断中の弁論に基づき、中断の事実を看過して口頭弁論を終結して判決が言い渡された場合の、訴訟手続の瑕疵
民訴法222条
判旨
当事者が死亡し、かつ訴訟代理人が存在しない場合、訴訟手続は当然に中断するため、中断中にされた口頭弁論及び判決は法令違背として破棄を免れない。
問題の所在(論点)
訴訟代理人のいない当事者が死亡したにもかかわらず、受継手続が行われないまま中断中に進行した訴訟手続および判決の効力。
規範
訴訟の当事者が死亡した場合、当該当事者に訴訟代理人がいない限り、訴訟手続は当然に中断する(民事訴訟法124条1項1号)。中断期間中は原則として訴訟行為をすることができず、これに反して進行した手続および言い渡された判決は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背となる。
重要事実
控訴人Dが原審(大阪高裁)に係属中の昭和51年3月4日に死亡した。当時、Dには訴訟代理人は存在しなかった。しかし、原審はDの死亡に気づかず、中断期間中である同年5月25日および11月25日に口頭弁論期日を開いて弁論を終結し、同年12月23日に判決を言い渡した。これに対し、Dの相続人らが手続の中断を理由に上告した。
あてはめ
本件では、控訴人Dが死亡した時点で訴訟手続は法律上当然に中断していた。それにもかかわらず、原審が口頭弁論期日を開き、弁論を終結させて判決を言い渡したことは、中断中の手続進行を禁じた規定に抵触する。このような手続の進行は、当事者の手続保障を著しく害するものであり、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背に該当する。一方、共同被告の一人であるA1については死亡等の事由がなく中断が生じていないため、Dに関する違法の影響は及ばない。
結論
Dに関する部分は、中断中に手続を進行させた法令違背があるため破棄・差し戻しを免れないが、中断事由のない他の上告人(A1)の上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟手続の中断事由(124条1項)が生じた場合、裁判所がこれを見落として判決を出したとしても、その判決は当然無効ではなく取り消しうるものにとどまる。本判決は、この違法が「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背」として上告理由になることを示している。また、通常共同訴訟の形態であれば、一人に生じた中断事由は他の共同訴訟人には影響しないことも示唆されている。
事件番号: 昭和22(オ)12 / 裁判年月日: 昭和22年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟が裁判をするに熟したか否かを判断して口頭弁論を終結させることは裁判所の裁量に属し、証拠の取捨選択も事実審の専権事項であるため、特段の不当性が認められない限り違法とはならない。 第1 事案の概要:控訴審において、控訴人の担当弁護士が口頭弁論期日の直前に急逝した。弁護士の遺族から裁判所に対し、弁護…
事件番号: 昭和50(オ)1167 / 裁判年月日: 昭和51年3月15日 / 結論: 棄却
訴訟代理権を授与された者が本人の死亡したのちその者を原告と表示して提起した訴は、死亡した本人の相続人のための訴として適法である。