訴訟代理権を授与された者が本人の死亡したのちその者を原告と表示して提起した訴は、死亡した本人の相続人のための訴として適法である。
訴訟代理権を授与された者が本人の死亡後にその者を原告と表示して提起した訴の効力
民訴法85条,民訴法208条
判旨
訴訟委任を受けた訴訟代理人が、委任者の死亡を知らずに死亡者を原告として提起した訴えは、民事訴訟法における訴訟手続の停止及び承継の規定を類推適用し、適法なものとして相続人が承継できる。
問題の所在(論点)
死者の名義で提起された訴えの適否、及び訴訟提起前に当事者が死亡していた場合に相続人による訴訟承継が認められるか。
規範
当事者の死亡によって訴訟手続が停止し、相続人がこれを承継する旨の規定(民事訴訟法124条1項1号等、旧法208条等)及び、訴訟代理権は本人の死亡によって消滅しない旨の規定(同法58条1項1号、旧法85条)を類推適用する。これにより、死者を原告とする訴えの提起であっても、適法な訴訟委任に基づく代理人が死亡の事実を知らずに行った場合は有効であり、相続人がその訴訟を承継し得ると解する。
重要事実
1. 被上告人の先代Dは、生前に弁護士らに対し適法に訴訟委任を行った。 2. Dは訴状提出前の昭和43年12月30日に死亡したが、訴訟代理人はその事実を知らず、昭和44年3月11日に亡Dを原告として本件訴えを提起した。 3. 第一審裁判所は、Dの相続人らによる訴訟承継の申立てを認め、審理判決を行った。 4. その後、遺産分割により被上告人が単独で権利を承継したため、他の相続人は訴えを取り下げた。
事件番号: 昭和27(オ)604 / 裁判年月日: 昭和28年10月9日 / 結論: 棄却
商人の借地権の放棄に関する契約は、たとえ右借地権がその営業所の敷地に関する場合であつても、商法第五〇九条にいわゆる「其営業ノ部類ニ属スル契約」とはいえない。
あてはめ
本件では、訴えの提起前にDは死亡しているが、生前に有効な訴訟委任がなされており、代理人は死亡を知らずに訴状を提出している。本来、訴訟係属中に当事者が死亡した場合には訴訟手続が停止し、相続人が承継する仕組みがあるところ、本件のような「提起直前の死亡」においても、訴訟代理権の不消滅と承継の規定を類推適用すべきである。事実、第一審で相続人らが承継の申立てを行い、裁判所もこれを認めて審理を継続していることから、訴訟経済の観点からも本件訴えを不適法として却下する必要はなく、適法な相続人による承継が認められるべきである。
結論
本件訴えの提起は適法であり、亡Dの相続人が本訴を承継したものと解するのが相当である。
実務上の射程
当事者能力を欠く死者を原告とする訴えは原則として不適法であるが、生前に訴訟委任を受けた代理人がいる場合には、本判決の類推適用により適法化される余地がある。答案上では、訴訟要件(当事者能力)の欠缺が問題となる場面で、訴訟経済や相続人の利益保護を理由として、訴訟代理権の存続を根拠に承継を認める構成をとる際に引用すべき判例である。
事件番号: 昭和49(オ)527 / 裁判年月日: 昭和50年10月24日 / 結論: 破棄差戻
相続人不存在の場合において、特別縁故者に分与されなかつた相続財産は、相続財産管理人がこれを国庫に引き継いだ時に国庫に帰属し、相続財産全部の引継が完了するまでは、相続財産法人は消滅せず、相続財産管理人の代理権も引継未了の相続財産につき存続する。
事件番号: 昭和39(オ)1161 / 裁判年月日: 昭和43年5月28日 / 結論: 棄却
右の場合には、いわゆる固有必要的共同訴訟ではない。
事件番号: 昭和34(オ)1162 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の買受人が、当該不動産の賃貸借契約における賃貸人の地位を承継するためには、譲受人と譲渡人との間で賃貸人たる地位の譲受契約を締結することが必要であり、その代理権の授与も認められる必要がある。 第1 事案の概要:上告人(買受人)は、補助参加人(譲渡人)から本件土地を買い受けるに際し、訴外Dを代理…
事件番号: 昭和34(オ)950 / 裁判年月日: 昭和37年7月19日 / 結論: 棄却
堅固の建物以外の建物の所有を目的とし、期間を二〇年とする借地権は、右期間満了前は、地上建物が朽廃しても消滅しない。